ようやく追いついて視聴終了。
前半の感想は短評に書いたけれど、最後まで印象は変わらなかった。
結局三部作の第二部、ということになったわけだけど、どんな傑作でも「中だるみ」から逃れるのは難しい。他の作品と比べれば確かに面白いのだけれど…。
ここから先はストーリーに関するネタバレが含まれます。ご注意ください。
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この重苦しさは第三季まで続く?
第二季は重苦しい。
おじさんたちの仲の良さそうなそうでもなさそうなやりとりや、主人公の一家のほのぼの風景とかは影を潜め、割と深刻な展開が続く。コメディシーンも何となくすわりが悪い。
重苦しい理由の一つは范閑が駒としてではなく能動的に動くようになったからだ。駒として動かされつつ、要所々々で相手を出し抜き、危機を切り抜けていく爽快感が第一季の特色だったけれど、第二期になって能動的に動くことができるようになった結果、どう動いてもかえって苦境に追い込まれるようになった。
范閑がそれまでに築いた人間関係の多くが崩れ去り、義父の林相はじめ何人かが退場し、林婉兒との関係も難しいものになった。(結婚したのに…)
…まあ全体の真ん中あたり、って主人公が八方塞がりの状態で危機的状況に陥るのがお約束、ではあるんだけれど。
一つは慶帝が范閑をわざと孤立させようとしているためで、施政者としては当然でもある。部下は優秀であるに越したことはないけれど、徒党を組まれたり、連携して施策を誘導されては困るからだ。
もう一つの原因は、范閑自身の現代的価値観とこの時代の価値観の対立だ。
范閑(や私たち現代人)が思い描く「官吏」「朝廷(政府)」の役割と、范閑の生きている世界でのそれは大きく隔たっている。
ドラマの中で范閑は何度も「法の下の万人の平等」「人民に尽くすのが官吏の本分」だと語る。それは母・葉軽眉の残した理想であり、現代人の視聴者には当然の考え方だ。
ただ、この時代の人々、特に支配者層にとっては受け入れがたい考え方でもある。
実際范閑は、ストレートに二皇子に対する告発を行った挙句、慶帝からは拒否され、二皇子の攻撃の激化を招き、いくつかの命を失うことになった。江南に向かっても、江南を支配する明家は輪をかけて人命軽視で残忍で、范閑のことを舐めてかかる。
「価値観」を覆すのって難しい。力任せに従わせても理解されてなければ結局元の木阿弥だし。…解決の手掛かりも全くないまま、この件は第三季に持ち越しになった。もう少し希望の光というか、解決の糸口というか、そういうものが欲しかったというのが正直な処。
葉軽眉という存在の謎
第二季で范閑が皇帝と葉軽眉の息子であることが公になった。
皇后も長公主も、皇帝の息子ってところには驚かない。皇后が葉軽眉殺害の犯人であることは分かったけど、どちらも息子を殺したいほど彼女を憎んでいるらしい。
男性陣が葉軽眉に惹かれた理由は想像できる。新しい知識と思想を運んできた聡明な美人…そりゃモテると思う。カリスマ性もあったのだろう。でも女性陣そこまで敵に回すなんて、葉軽眉は何をしたんだろう?単純に男性陣の愛情を独り占めしたから、ってことではなさそうな気がする。
彼女が元々属していたと思われる「神廟」という組織も謎のままだ。彼らは意図的にこの時代を創り出したようだけれど、どういう世界にしたかったのだろう?
そもそも范閑が現代の知識を持ったまま生まれてきたことの理由もまだ全然分からない。
アクションシーンですっきりしたかった…
ベテラン俳優さんたちの演技は相変わらず素晴らしいし、ゲストも豪華。ただ第一季は、彼らの芝居の上手さを堪能できるドラマであると同時に、派手なアクションシーンが適宜挟まれるところも魅力だった。
第二季はアクションシーンも控えめ。…話が重いんだから、スカッとするようなアクションシーンが欲しかった。最終盤の四大宗師登場まで「強敵がくるぞー」という緊張感がなかったのも寂しい。…四大宗師って全員登場したっけ?「慶余年」が武侠系の話メインでないことは承知しているけど、重苦しい雰囲気を和らげるのはコミカルなシーンだけではない、ってことも忘れないでほしい。
結局第二季は、第一季の終わりより中途半端に思える形でエンドになった。
第三季製作はまだまだ先の話だろうから気長に待つしかないけれど、張られた伏線が上手く回収されて、謎がすっきり解ける大団円を期待したい。
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題名:慶余年第二季 庆余年第二季 Joy of Life 2
導演:孙皓 編劇:王倦 36集
出演:张若昀Zhang Ruo Yun 李沁Li Qin 陈道明 吴刚Wu Gang 田雨
郭麒麟 宋轶Song Yi