目の離せない展開で、思わず超前買っちゃった「雁回時」。
とてもよく練られたストーリーだと思ったけれど「解決されない3つの謎」がある、という記事を目にした。…三つの謎って何?
このドラマは話の展開を知らない方が楽しめると思うのですが、謎は終盤の展開に関わるものがあり、終盤のストーリー展開にも触れています。ご注意ください。
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まずは全体の感想
36集を30集に縮めたとかで目まぐるしい展開ではあるけれど、それがテンポの良さにも繋がって毎日更新が待ち遠しかった今作。
女性たちが置かれた状況に反旗を翻す小気味よさ、追い詰める側が追い詰められそれがさらに逆転する意外性、エモーショナルかと思えば一転してエゴがむき出しになる人間関係など、見所が詰まっていた。
女主の造型も新鮮。深窓の令嬢がその教養と知恵で危機を乗り越える、という展開はよく見るけれど、このドラマの主人公・寒雁(陈都灵 飾)は他家で虐げられて育ったせいで、嘘つきで粗野で乱暴な部分もある。「あいつ殺しとけばよかった」と言って小刀持ち出したり、人目も気にせず裸足で遺体を引きずって必死に街まで歩いたり。家の対面の為に虐げられている女性を知恵を使って(というよりしれっと人を騙して)救ったりする姿は爽快だ。
敵の姿が明らかになるにつれ、その周到な自己保身(と平気で他人を踏み台にし、命を奪う冷酷さ)には驚かされるし、出し抜いたと思っても出し抜かれてしまう展開にはハラハラさせられた。
登場する他の女性たちにもいろいろ考えさせられた。中盤以降、男主・傅云夕(辛云来 飾)の影が薄くなりがちなのはちょっと、と思うけれど終盤盛り返すし、まあいいや。
それと、結婚式。中盤の大きな展開の一つだけれど「G.O.T.」の「レッド・ウェディング」を思い出した。特に主人公の結婚式は緊張感が半端なく、花婿姿で迎えに来る男主がものすごく頼もしく見えた。
残された3つの謎とは?
謎が謎を呼ぶ展開でもあるし、そもそも一番悪い奴が口を割らないせいで、いろいろな事件は視聴者が推測するしかない。正直「3つの謎」と言われてもどの件かさっぱり分からなかったので、中文のネット記事を調べてみた。
記事によって挙げられている謎の内容も数も違う。
▼網易(Net Ease) 04.02付
「《雁回时》大结局未解之谜,叔婶是好是坏,庄寒雁的秘密是什么?」
1 柴靖(傅菁 飾/寒雁を守っていた女侠)の去り際の台詞「秘密は守る」の秘密とは何か?
2 澹州の小父・小母は良い人だったのか?悪い人だったのか?
3 寒雁が傅云夕に打ち明けようとした「秘密」とは何か?
上報04.02付
「陳都靈、辛雲來《雁回時》劇情慘被狂刪6集 大結局留3大謎題全網敲碗番外篇」
1 傅云夕の前妻であり寒雁の姉である「語琴」の本当の身分は?
2 傅云夕の娘「阿芝」の本当の身分は?
3 澹州の小父・小母は良い人だったのか?悪い人だったのか?
捜狐SOHU.com 04.04付
「《雁回时》结局大揭秘:那些让人难以入眠的未解之谜」
1 傅云夕はラストまで生きているのか亡くなったのか?
2 斉王の最初の妻・裴映月と傅云夕の前妻・庄语琴と庄寒雁の関係は?
3 庄寒雁の神秘的な技能は何処から来たのか?
4 阿芝の本当の身分は?
5 柴靖の去り際の台詞「秘密は守る」の秘密とは何か?
互いに関連している謎もあるので整理して、ついでに考察もしてみよう。
第一の謎
澹州の小父・小母は良い人だったのか?悪い人だったのか?
庄寒雁の神秘的な技能は何処から来たのか?
まずは簡単そうな疑問から。
本編には登場しないがメイキング映像において澹州の小父・小母と寒雁が仲睦まじく談笑するシーンがあるそうで、そこから生じた疑問。私はメイキングを見ていないので何とも言えないけど、一部の視聴者は最後まで小父・小母は「実はいい人だった」という話が登場するのではないかと期待していたのだそうだ。
このシーンは前後の脈絡が不明だが単に寒雁が「そうならいいのに」と思い浮かべたシーンだった可能性もある。何しろ6集分減少しているのでカットされてしまったとしても不思議はない。そもそも小父小母が善人なら、鎖に繋がれて浜辺を彷徨う寒雁は存在しなかったので柴靖との固い絆も生じなかっただろうし、井戸に落ちていた鉄の簪や、村のお男の子の耳を食いちぎった話とも矛盾する。
ただ、こうした疑問が生じるのは寒雁が虐待されて育ったにも関わらず、あのように高い教養や振る舞いを身につけていたからだ。それが「庄寒雁の神秘的な技能は何処から来たのか?」という疑問だ。
教養については小父が「科挙を受け続けている文人」で、長年科挙に落ち続けおかしくなっているらしいことが寒雁の回想から読み取れる。虐待の一部として暗唱や創作もさせられていたようだし(墨を飲まされているのはそういうことだろう)、古典に通じているのはそのせいだと思う。
振る舞いについてはよく分からないけれど、ずっと母親が「貴女」であることだけがよすがだった寒雁にとって「貴女」を目指すことはごく当然で、少ない機会をフル活用してそうした振る舞いを身につけようとしていた可能性は高い。
庄家が何故あのような家に娘を預けたのか、については面白い推論が豆瓣に載っていて、「父親の庄仕洋は妻を虐げる代わりに娘が虐げられるよう、ああいう家をわざわざ養家に選んだ」というものだ。そもそも娘を預けたのは自身の澹州での活動の隠れ蓑だったわけだが、あの性格ならついでにそんなことを考えても不思議ではない。
小父・小母についてはむしろ、何故寒雁を売ろうとしたのか、の方が謎だ。寒雁はあの家にとって大事な「金づる」だったはずで(庄家は養育費を送っていたはず)、売るということは金づるとしての価値が無くなったことを意味する。傅云夕らの調査で澹州でのマネーロンダリングルートが潰されてからは、仕送りもされていなかったということなのだろうか。
…まあ父・庄仕洋(喻恩泰 飾)にとっては寒雁は生死不明になってくれた方が都合が良かった、ってことなのかも。
第二の謎
柴靖の去り際の台詞「秘密は守る」の秘密とは何か?
寒雁が傅云夕に打ち明けようとした「秘密」とは何か?
寒雁が打ち明けようとしたというのは傅云夕が「自分は毒に侵されている」と言った後に「私にも秘密がある」と秘密を言い出そうとしたのを傅云夕が制止した、というシーンでのこと。柴靖の方は婚礼の夜、柴靖が船に乗って去る際の独白だ。
二つの秘密はどちらも澹州での出来事、もしくは澹州から都(実家)へ戻ってくるまでの出来事に違いないだろう。上記の記事でも「秘密ってなんなんでしょうね?」というだけで内容は記されていない。
澹州での寒雁の暮らしは本人の弁に頼るしかないけど、彼女はかなりの嘘つきなので全面的に信用できるかは疑問。身一つで澹州を後にしたはずの寒雁が都入りする際はそれなりの服装で馬車に乗っていた(都に入る前にマントを脱ぎ馬車から降りてわざわざぼろ服に裸足で実家にたどり着いた)のも不思議だ。路銀をどうやって稼いだのかについても正道でないだろうことは察しがつく。「秘密」というのはその辺りのことかもしれない。
第三の謎
傅云夕の前妻であり寒雁の姉である「語琴」の本当の身分は?
傅云夕の娘「阿芝」の本当の身分は?
斉王の最初の妻・裴映月と傅云夕の前妻・庄语琴と庄寒雁の関係は?
これはなかなか面白そうな謎だ。斉王が寒雁を気に入るのは裴映月によく似ていたから。裴映月は裴姓だから当然諸悪の根源裴公の関係者であり、裴公は宦官なので娘は何処からか養女としてもらわれてきたのだろう。記事は庄仕洋が裴公に庶子の娘を献上し、更に裴公がその娘を斉王に献上したのではないか、と指摘している。確かにそれなら裴映月=庄语琴で寒雁と面差しが似ていても不思議ではない。
裴映月=庄语琴というのは検証されていて、斉王が持っている裴映月の姿画の口元のほくろと庄语琴(登場しても殆ど顔が映らない)の口元のほくろが同じ位置にあることが確認されている。養女に出されたのなら、庄语琴の名前が族譜にないのも納得がいく。
記事では、斉王に嫁がせたものの虐待がひどく、やむなく庄仕洋が彼女に死んだふりをさせ屋敷から逃がし、見つからないようすぐに傅云夕に嫁がせたのではないか、と推測されていた。
家族に愛情のない庄仕洋が娘のためにそんな風に骨を折るか、とも思うけれど、逃げてきた娘を丁度監視が必要になった傅云夕の元へ送り込む、ということなら納得できる。
傅云夕の娘「阿芝」は、普通に考えればその後二人の間に生まれた娘だけれど、実はちらりと登場する斉王の世子が阿芝と似たような歳なのだ。もし裴映月=庄语琴であれば、斉王の第二子である阿芝を身ごもったまま、傅云夕に嫁いだという可能性は確かにありそうだ。
ドラマ内で阿芝と寒雁の関係は結婚直後はあまり良いものではなく、寒雁は阿芝を避けているように見える。母の復讐した後自分がどうなるか分からないから、等の理由も考えられなくもないけれど、何となく腑に落ちない。もし寒雁が阿芝が傅云夕の実子でないことを知っていたとしたら、自分と同じように他家に預けられた子供が愛され幸せに暮らしているのを見て複雑な気持ちになった、という解釈も成立する。そうであれば後に阿芝が「私もあなたも同じようにお母さんのいない子供だ」と言い出すことで二人の間に和解が成立する、という流れもより自然に思えてくる。
また、ドラマ内では庄语琴の死は、庄仕洋が傅云夕を狙った毒を彼女が誤って飲んでしまったように描かれていたが、もし裴映月=庄语琴であれば裴公と自分の関係を知っている彼女を庄仕洋が生かしておくはずがなく、夫婦共々の毒殺を狙った犯罪だったのではないか。庄仕洋ならやりそうなことだと思う。
第四の謎
傅云夕はラストまで生きているのか、亡くなったのか?
これは最終話、寒雁が亡くなった人も含めて花火をする、というシーンでのこと。そもそもこのシーンは彼女が思い描いた「暖かい家族の団欒」であり現実ではないのだけれど、傅云夕の立ち位置が死者の側にいる、という指摘だ。
記事は「そもそも解毒薬の調合法を渡してしまえば殺されてしまうことが分かっている庄仕洋が、調合法を渡すはずがない。太医も助からないと言っているし、回復するはずがない」という論調だ。
…確かに庄仕洋は牢から解放された後も寒雁が用意した食事には口をつけない程彼女を警戒している。ただ、金と自分の命に対しては異常な執着をみせる人物だから、生命を脅かす「飢え」「渇き」には勝てなかったのではないか、とも思う。
ラストは「視聴者の想像にお任せします」というやつだから、わざわざ曖昧にしているとも思えるし、好きな方を信じればいいんじゃないだろうか。
…ちなみに私は「生きている」方に一票。そうでないと一人で子供と傳家を守らなければならない寒雁が気の毒だ。
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何しろ庄仕洋が絶対に口を割らないので、彼の犯した罪の真相は多くが闇に包まれたままだ。個人的には妻で寒雁の実母・阮惜文(温峥嵘 飾)の実家が陥れられた事件については、もう少し手がかりが欲しかった。
家族や家に何の思い入れもない庄仕洋が、阮惜文を宇文長安から奪おうと画策した(愛ゆえに行動した)、というのはしっくりこない気もする。その後の妻や娘への扱いを考えると阮家にものすごい恨みでもあったのだろうか?
…こんな風にいろいろ考えられるのもドラマ自体が面白かった証拠ではある。確かにスピンオフでいくつかの謎に答えを出してくれたら嬉しいかも。
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題名:雁回時 雁回时 The Glory 30集
原作:千山茶客「重生之贵女难求」
編劇:曹笑天(編劇)曹琢尔・卢抒婷(総合編劇)
導演:陈都灵Chen Duling 辛云来Xin Yunlai 何泓姗 喻恩泰 温峥嵘