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「凡人修仙伝」俗に塗れた修仙者たちの物語(~10集)

「凡人修仙伝」面白い。

雄大で溜息が出る程美しい大自然の中、久々に恋愛メインではない本格仙侠ストーリーが展開。スピーディな展開に加え、主演の杨洋がすばらしいので、是非。

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「凡人修仙伝」微博より こんな場所なら修行もはかどる?

修行ものって面白いの?

大多数の人がまず思うであろう、この疑問。武侠ものだと「偶然良い師父に出会って、技を授けてもらう」「秘伝書を見つけて独学」辺りが定番で、主人公の活躍を語る「前段」というイメージが強い。、地味だしそんなに面白くないんじゃ…と思うのも当然。

でもこのドラマの修行には罠が一杯…というより登場する「師父」や「先輩」は、余りに人間臭く欲望に忠実。平凡な青年の修行は当然ながら一筋縄ではいかない。

 

主人公・韓立(杨洋 飾)は田舎の貧しい家の平凡な青年だ。七玄門という宗派の外弟子である三叔父が稀に持って帰ってくる餅が楽しみで、自分も弟子になりたいと親友・張鉄(胡宇轩 飾)と共に入門試験に臨むが失敗。やむなく宗派の偉い人を治した、と尊敬されている医師・墨大夫(金士杰 飾)の弟子となる。墨大夫は医学や初歩の修行の手ほどきをしてくれたものの、その目的は韓立の身体を乗っ取ることだった…。

 

墨大夫は決して酷い師父、というわけではない。ご飯はちゃんと食べさせてくれるし、含蓄のある言葉も教えてくれ、時には慈愛に満ちているようにも見える。ただ師父の目的は仙人になって「不老不死」になることで、その為にはせっかく育てた弟子を犠牲にすることもいとわない。

 

そもそも仙人って?

私の「仙人」に対する基本イメージは「俗世に関わらず霞を食って千年生きてるお爺さん」だ(笑)。調べたことがなかったので「神仙思想」について調べてみたら「現世を超越し、不老不死の薬を得て天地と共に終始し、自身の思うがままの生活の実現を願う思想」(日本大百科全書)とあった。イメージとあんまり変わらない。

仙人になるにはどうするかというと「体操による訓練か薬」(ブリタニカ国際大百科事典)。仙人は達観していて法術とかで一般の人を助けてくれる、というのはこちらの思い込みで、結局のところ道徳とか人格を磨く、とかは関係なさそうなのだ。

 

だからなのか、ドラマに登場する修仙者は(よく言えば)非常に人間臭い。七大宗派への選抜試験会場に集う者たちは他者を出し抜く為に手段を問わないし、周りの先輩仙人もそれを気にする様子はない。宗派の中でもカツアゲや、ぼったくりは当たり前。貴重な薬草の生える血色禁地で一番恐ろしいのは、底なし沼でもそこに巣食う猛獣でもなく、相手を殺して薬草を奪おうとする他宗派の弟子たちだ。

最初は「師父が人を殺すなんて!」と驚いていた韓立も、何度も修羅場を潜り抜けるうちに慣れたのか、淡々と人の死を受け入れるように。

…最初、ものすごく違和感が大きかったけれど「思うがままに自由に生きる」というのは他の修行者も同じで、弱肉強食の世界でもあるわけだ。仙人の世界って案外無秩序で怖い。

 

修行はアイテム命!

欲望に忠実な修仙者たちの中、韓立は飄々として自然体だ。世間知もあって、交渉上手。術だってそこそこ使える。でも特別って感じはしない。その辺りの匙加減が絶妙。

杨洋って俳優さんはこんなに表情豊かな俳優さんだっただろうか。観るもの、聴くもの全て新鮮で幸せそうな韓立を見ていると、こちらも何だか幸せな気分になる。

 

韓立は選抜試験で「仙人の天賦の才なし!」と判定されてしまう。でもそこで本人が悟ったのは「仙人の強さって結局アイテムの強さじゃん!」。仙修者は皆、宝具や護符、丹薬…要はゲームで言うところのバフアイテムを装備、自らの能力を底上げしている。ただ、それらの装備を整えるのにまず必要なのは「お金」。韓立は拾えるアイテムは拾い、材料を揃えて丹薬作って、物々交換で高価な宝具を入手…どんどん強くなっていく。修行というよりRPGの育成モード(笑)。

 

原作の「凡人修仙伝」が書かれたのは2008年から2013年にかけて。中国の修仙小説の金字塔だそうだが、仙人の修行を現代のゲーム感覚で描いた辺りが新鮮だったのかもしれない(実際にMMORPG等のゲーム化、アニメ化もされている)。大変長いシリーズのようだけれど、導演の杨阳は非常に手堅く、分かりやすく話をまとめてくれているので、お話がこんがらがったりついていけなくなることはない。流石あの長くて複雑な「将夜」をまとめ上げた人だ。

「凡人修仙伝」微博より すごく楽しそうな二人。杨洋のこういう表情は見たことなかった。

美しい自然がまだ見ぬ世界を想像させる

仙侠ものなので闘いは術の応酬だしみんな空を飛ぶし、魔獣も登場する。その多くは勿論CGだ。ただ闘いの多くは雄大大自然を背景に行われて、解放感に溢れている。美しい雪山を背に草原で修行する主人公を見ていると、成程こういう場所なら悟りも開けそう、と思うと同時に、人がどんなに修行を重ねても天と地は人智の外にあるのだ、と実感する。

これらの美しい実景は延べ1300人ものスタッフが158日、3つの季節に渡り撮影を重ねたものだそうだ。ロケ場所は新疆ウイグル自治区、貴州荔波県(苗族の自治区世界自然遺産)だとのこと。

 

「将夜」「夢華録」の俳優さんも沢山出演

杨阳導演は所謂「杨阳組」というか、以前の作品に出演した俳優さんをとても大切にしているようで、今回も見知った顔がたくさん。

韓立の親友・張鉄は「将夜」の陳皮皮だし、大師兄だった陈震も登場。「夢華録」の三娘だった柳岩や男主の部下だった陈廉も登場する。あ「将夜」のおバカな三皇子も弟子の一人で見かけたっけ。登場人物はとにかく多い(そしてあっさり退場する)ので、見たことある顔だと覚えやすくて安心。

 

これから先、本格的に魔道の人達も動き出すようで、こちらには汪铎や徐海乔が出演予定。こちらも楽しみ。

原作がどう展開するのかよく分からないけれど(10集までで原作3巻の途中くらいまで来ているようだ。ちなみに原作は11巻)早く続きが見たくなる。楽しい。

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題名:凡人修仙人伝 凡人修仙传 The Immortal Ascension 34集?

原作:忘语「凡人修仙伝」

編劇:王裕仁「夢華録」「不完美受害人」贾东岩「猎罪图鉴」

出演:杨洋Yang Yang 金晨Jing Chen 汪铎Wang Duo 赵小棠Zhao Xiaotang

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