続編というものは大抵一季の方が面白かったとか、そんな風になりがちだ。第一季から第三季までメインキャストも変わらず、内容も同じくらい濃くて面白い作品はそうそうない。
はじめの10集を見る限り「唐朝詭事録」はそうした稀有な作品になりそう。
ここから先は一季二季のネタバレが含まれます。ご注意ください。
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第一の事件「康国的金桃」
物語はちゃんと二季の終わりから続いている。二季で「都に帰ってこい」との命令を受けた盧凌風(杨旭文 飾)と蘇無名(杨志刚 飾)。持って帰ってくるよう言われた「金桃」がこの事件の鍵になる。
桃は古くから食べられていた果物の一つで、中国やペルシャが原産らしい。7500年前から食べられていたのだとか(Wikipedia「桃」)。中国版のWikiでは見つからなかったけれど、日本では「黄金桃」という桃が売られている。見た目はドラマに登場したものとそっくり。
マンゴーのような甘みが特徴だそうだ。
大変な貴重品なので天子(第一季では太子だったけど二季には皇帝に)、公主(皇帝の叔母さんにあたる)、太上皇の三人に分けられた金桃だが、それを食した人間が怪鳥に襲われるという事件が連続して発生。例によって盧凌風と蘇無名が解決にあたることになる。
天子と公主の政治闘争は天子の即位で終わるどころかますます激化。そもそも蘇無名は公主に引き立てられた経緯があり、盧凌風はバリバリ天子派(なのに公主の隠し子)という複雑な立場、しかも犯人はどうやら皇族のみが立ち入れる後院に潜んでいるらしいとあって捜査は難航する。
天子、公主、太上皇のモデル及び複雑な歴史については別稿に記したのでそちらをご参照ください。
ちなみにこの事件には第一季の「甘棠駅怪談」に登場した三つ子が登場する。あれも気味の悪い事件だった。
第二の事件「成佛寺的哭声」
基本的には行方不明になった少女を捜すのがメインなのだけれど、第二季の最初の事件「降魔变」で降魔図が描かれた成佛寺で毎夜女のすすり泣く声が聞こえる、という噂が広まるところからお話は始まる。
「降魔変」では高名な絵師・秦孝白の渾身の作でありながら、本人がどうしても仏に目を入れられず悩むという物語が描かれたけれど、この画は盧凌風たちが西に旅している間に“画から魔が飛び出してくる”ようだということになり、手入れもされず放置されてしまったらしい。
この壁画は大変鮮やかで美しく作られていて「まさか」と思いつつ、本当にありそうな気もしてきて(笑)少し調べてみることにした。
結論から言うと、実在はしないけれどモデルはある、ということらしい。
降魔図とは仏教用語の一つでマーラ(悪魔とか天魔とかのこと)の軍勢を退けるという内容の図で、代表的なものは「お釈迦様がマーラの誘惑や妨害を退け悟りを開く」物語を描いた「降魔成道図」。ドラマの中で描かれている画は敦煌の絹画がモデルになっているらしい(勝訊網2024.07.24)。現在ではフランスの美術館に保管されているのだとか。
事件が解決した後、寺で画の作者そっくりの僧が画を見ながら涙を流すシーンでこの話は締めくくられる。美術担当者の渾身の作でもあろう降魔図は、一見恐ろしい魔が描かれているけれど、美しくライティングされたそれは確かに仏の慈悲に満ちているように見える。
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この作品の魅力は単に面白いストーリーではなく(仮名になってはいるものの)きちんとした歴史背景や唐文化のエッセンスを忠実に取り込んでいることだろうと思う。
歴史では天子と公主の対立は悲劇的な結末を迎えることになるんだけど、その辺りはどう描くんだろう。決定的な対立はすぐそこまで迫っている。
そして対立の渦中で盧凌風と蘇無名はどのような決断を下すんだろう。早く続きが見たい…んだけど時間が足りない(泣)。
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題名:唐朝诡事录之长安 Strange Legend of Tang Dynasty Ⅲ 40集
導演:巨兴茂
編劇:魏风华 郭靖宇
出演:出演:杨旭文William Yang Xu Wen 杨志刚Yang Zhi Gang 郜思雯 陈创 孙雪宁