YOUKUで配信になった時は「まーた転生ものか」と思ってスルーしていた本作。日本で配信になったので観てみたら…やだー面白い(笑)。
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「転生もの」は多いけれど…
中国古装ドラマの一大ジャンル「転生」。現代から過去(架空だったりそうでなかったり)へ飛ばされるパターンと、自分の人生をやり直すパターンとあるけれど、このドラマは後者。
主人公が「死んだ」と思った途端、人生の分岐点に戻され人生をやり直す。前世の記憶を持ったまま過去に戻る、というのが定番で、今世では前世の知識を生かし前世で起きた悲劇を事前に食い止める、という展開になる。
最近では「九重紫」「寧安如夢」が転生もの。ショートドラマは殆ど見ないのでよく分からないけれど、紹介文を読む限りもっとずっと多そうだし、「自身のこれからの運命を知っている」という点では小説や脚本の中に入ってしまう「永夜星河」「書巻一夢」辺りも「転生」のサブジャンルと言っていい。
この作品も典型的な「転生もの」ではあるのだけれど「夫婦共に転生」し、力を合わせて悲劇を回避しようとする、という点が新味。こう書くと如何にもラブ史劇っぽいけど、悲劇の中身が朝廷の壮絶な権力争いだったりするので、内容は割とハード。
序盤のお話
大夏(架空歴史です)は危機に直面していた。病に臥した若き皇帝・李川(刘旭威 飾)は宰相・裴文宣(张凌赫 飾)に自分と対立する長公主・李蓉(赵今麦 飾)の殺害を命じる。
裴文宣は李蓉の附馬なのだが不仲が続き別居、彼女は謀反で滅ぼされた蘇家の次男・蘇容卿(陈鹤一 飾)と共に暮らしている。李蓉は長年の毒で瀕死の状態で、面会に来た裴文宣を自分を殺しに来たと誤解、裴文宣を殺し自身も毒で死亡する。
気が付くと李蓉は裴文宣と結婚前の18歳に戻っていた。裴文宣も李蓉の求婚者の一人として転生。二人は大夏の運命を変え、殺し合うという悲劇を避けることができるのか…?
互いに見た目は18歳でも実際は40歳過ぎなんで、熟年夫婦の痴話喧嘩みたいに始まるけれど、状況はもっと複雑。まだ父親の皇帝・李明(于谨维 飾)の御代だが、李明は非常に猜疑心が強く、娘が持ってきた菓子ですら(毒を恐れて)手を付けようとしない。朝廷は実質世家(有力貴族)が牛耳っており、李明はその勢力を削ぐことに血道を上げている。
世家の筆頭上官家は外戚でもあり、皇后及び長公主も太子も上官家の血を引いている。故に皇帝は(将来上官家の傀儡になりそうな)太子を嫌い、寒門である蕭家出身の柔妃・蕭柔とその子ども達を寵愛する。但しそれは世家をけん制する為で、本音の処では北伐の将である蕭家とその軍隊も警戒中。
李蓉は自分たちの既得権益を手放そうとしない世家の力を弱めつつ協力させ、父親の警戒心を解き、弟を帝位に就かせなければならない。
こういう超メンドーな政治状況と、李蓉を巡る二人の男の駆け引きが同時並行で描かれる。
皇帝は何故こんなに猜疑心が強いのか?
中国ドラマを観始めてかなり経つけれど、ずーっと思っているのが上記の疑問。海外の歴史ドラマも好きで良く見るけれど、中国ドラマの皇帝の疑り深さ、それ故の残酷さは他に類を見ない、と思う。
最初にそう思ったのは「琅琊榜」の時。間違いは認めないわ、息子同士を争わせるわ、で政治能力皆無のくせになんて酷い!と憤ったのを覚えている。「長安十二時辰」では部下たちが皇帝に疑われるのを恐れるあまり菓子一つ摘まむのにも思案する様が描かれた。「周生如故」や「鶴唳華亭」等軍を動かす権利を持っているだけで疑われた挙句抹殺されてしまう将軍や太子も後を絶たない。
皇帝は専制君主なんだし、太子は自分の息子なんだからそこまで疑う必要も、あれこれ試す必要もないんじゃ…と思うし、何故そこまでしつこく疑うのか不思議だった。このドラマでは皇帝自らがどうしてかを語っている。
「全員が嘘をついている。自分が正しく推察できなければ大変なことになる(ちょっとうろ覚え)」
…皇帝の前では閣僚も太子も全員嘘をついている、というのが前提なのか(笑)。嘘の中から真実の欠片を拾って事実を推察して判断しているわけね。下々の者としては部下の報告が全部嘘、って前提でものを考えてるとは全然思ってなかった。
もっと信用できる部下を作ればいいんじゃ、という気もするけれど、情報伝達の手段も少ない時代ならずっと宮中に籠っている皇帝を騙すのは簡単そうだ。部下の報告以外に判断材料がない情況でその報告自体に信用がおけない、となると確かに疑心暗鬼は深まる、かもしれない。ふらふら街を歩いて捜査するわけにもいかないしね。自分の息子だからって信用できない、というのは長い中国の歴史自体が証明しているわけだしなあ。専制君主、というのもなかなか因果な商売だ。
前世の謎はなかなか解けない
メインの話は父帝・李明の時代だけれど、前世で夫婦が対立してしまったのは弟が帝位に就いて以降のことだ。どうやら弟は世家とも姐とも決裂しているようなのだが、詳細ないきさつは最終盤まではっきりしない。弟を帝位につけるべく策謀を巡らしてきた李蓉は、運命は全く変わっているように見えて全然変わっていないのではないか、と思い始める。
根本的に何が問題なのかはネタバレが過ぎるので控えるけれど、意外だけれど納得のいくものだった。前世も今世も辿った道筋は違うが結局同じ結論に至り、しかもバッドエンドからは脱却する。よく考えられた展開だと思う。
で、恋愛方面はどうなのよ?
基本的に長公主無双でお話は政争メインなのだけれど、裴文宣・蘇容卿との関係やサブカップルの物語は恋愛関係が政争に絡むため、割にきちんと描かれていると思う。赵今麦は終始落ち着いた佇まいで中身40な18歳の公主を巧みに演じている。実年齢はまだ23歳だそう(笑)。
张凌赫の附馬は、あんまり中身40歳過ぎには見えないけれど、こちらは親父くさくてはロマンスにならないので仕方ないかも。どちらも「頭が良くて権謀術数に長ける」設定なので、おバカな行動に観ている方がイライラしたりすることなく、気持ちよく観ていられる。
そんなにお金の掛かったドラマではないので、二皇子とかその辺りの役者さんが顔が覚えられなかったりするけれど、お話の面白さで見せてしまう。あれどうなった?と思う部分がないわけではないけれど、良かったです。
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題名:度华年 The Princess Royal 40集
原作:墨书白(「長風渡」)「長公主」
編劇:饶俊「剣王朝」「花千骨」
導演:高翊浚 刘迪洋「封神:妲己」
主演:赵今麦 Angel Zhao Jin-mai「開端」 张凌赫Zhang Linghe「寧安如夢」 陈鹤一