オリンピックが始まって中国ドラマの視聴時間が激減w…「太平年」面白いんだけど、一生懸命観ないと話についていけないので、もう少し軽い作品を探していて行きついた本作。有名俳優が出ているわけでもないのに、あてになるようなならないような豆瓣評価が8.3と超ハイスコア。新鮮味のあるストーリーで面白いです。
ここから先は序盤のストーリーのネタバレが含まれます。ご注意ください。
----------------------------------

天空の城が浮かぶ街での物語
タイトルの「海市蜃楼」とは蜃気楼のこと。知らなかったけれど「蜃」とは蜃気楼を生み出す息を吐く生き物のことで、正体は雉と蛇の間に生まれる龍とも巨大なハマグリとも言われている。これらの伝承は日本にも伝わり、だから“蜃気楼”と書くのだとか。
文字通り、巨大な蜃気楼が上空に浮かぶ街が舞台のドラマだ。主演の费启鸣は「顯微鏡下的大明之絲絹案(邦題:天地に問う~Under the Microscope)」でギャンブル好きだが気のいい主人公の友人を演じていた俳優さん。先日の「剥繭」でも罗云熙の部下役で見かけた。その他の人は、残念ながら知らないなあ…。導演の李洪绸は編劇もプロデュースも務める人のようだけど、こちらも作品は未見。
お話は例によって架空の時代。空に大きな城の蜃気楼が浮かぶ街、登州が舞台。
賞金稼ぎを生業とする姉・曽倩(吕小雨 飾)と弟・曽信(冯俊杰 飾)に捕らえられ登州にやって来た曹晟(费启鸣 飾)。彼の本当の目的はこの街の牢に捕らえられている父を救出することともう一つ、父の計画を止めること。
折しも街では義賊・夜魈に多額の賞金が掛けられ、千機衛も出動中。夜魈の正体は街で餅を売る刘冠英(邵庄 飾)なのだが、千機衛の統領・林寒(安宁 飾)とは因縁があるらしい。元々は猟師の娘である曽倩も夜魈に似た男を捜して賞金稼ぎを続けていたようだ。
街で傍若無人な振る舞いで人々を呆れさせているのは知县の息子、謝景棠(杨羽 飾)。元々は医者だったが誤診を疑われ、以来30過ぎなのに親がかりで放埓な日々を過ごしている。武芸はさっぱりの謝景棠だが町人殺害の疑いを掛けられ、目撃者の浮浪児を捜すことに。
曹晟の父はこの街の地下に爆薬を仕掛け、街を沈め2万もの住民を皆殺しにする計画を立てていた。曹晟は父親の部下を言いくるめ計画を阻止する一方、夜魈らの因縁を上手く使って父親の救出を試みる。ところが父は脱出どころか計画を潰した息子を𠮟り「2万の命で人々を救うはずだった」とつぶやく。
父は謎の甲冑武者に殺害され、部下たちは自死。そして天空に浮かぶ城が地上に降りてきた時、街から200人もの人が行方不明に。その中には曽倩の弟、刘冠英の娘、謝景棠の無実を証明するはずの浮浪児も含まれていた。曹晟とその護衛の芸娘(金子璇 飾)、曽倩、刘冠英、謝景棠らはやむなく協力し、人々が連れ去られたと思しき天空城の謎を探ろうとするのだが…。

古装アクション+欧米SFドラマ
皇帝、太子、北方の敵と戦う庶子の兄…といった古装ドラマに定番の人々が登場するのだけれど、起きる事件は「3000」とか「V」「ドーム」などの侵略系SFを彷彿とさせる。それに「不老長寿」という中国伝来のアイテムが加わって、カオスだけど楽しい。
そもそも古装だし低予算ドラマなんでホラーっぽい表現は全くないし、SFチックな造形は正直ショボい。でもお話が何処へ転がっていくのか予測不能で面白い。
一人一人のバックグラウンドも手際よく描かれ、こちらは義理と人情の武侠テイスト。戦闘シーンも割に多い。武術が使えるのは芸娘(双剣)、刘冠英(槍と棒術)、林寒(長刀)、曽倩(弓)と人数も多いし得物もバラエティ豊か。中国ドラマはどんな作品でもアクションシーンはそれなりのクオリティがある。この頃武侠成分が不足気味だったんで嬉しい&楽しい。
演出が上手いなあ、と思ったのは無級観という警戒厳重なお寺への潜入シーン。ぐるぐる回っている見張りをタイミングを計り上手くやり過ごしながら進んでいくのはゲームをやっているみたいでドキドキした。
後半のお話は…
一つ事件が解決、と思うと新しい謎が見つかって半分近くまで来ても先が読めない。曹晟の父親は未だ謎だらけだし、被害者と思われた太子の行動も謎が多い。曽倩の父も唯の猟師にしては、だし…。
李洪绸監督が22年に監督・脚本を務めた「異物志」は豆瓣で一時9.3もの高評価だった(今は8.5、それでも高い)。こちらもSFのようだ。こういう話を作るのが上手な人なんだろう。
というわけで、後半も期待大。
---------------------------------
題名:海市蜃楼 The Mirage 24集
編劇:李洪绸(総編劇) 车志刚 邢冬冬 王飞虎 杨雨辰 周扬帆 贾妍 付余 昕澍
導演:李洪绸 车志刚 邢冬冬
出演:费启鸣 吕小雨 邵庄 安宁 杨羽 金子璇
↓SFカテゴリな作品を挙げてみたけど少ないなあ…