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「太平年」(~35集)皇帝が若すぎると国が亡びる?

「太平年」、ちゃんと視聴しているんだけど、理解するのが難しくてなかなか進まない(泣)。ようやく35集までたどり着いたけど…中原も呉越もトップの入れ替わりが激しくてついていくのが大変。目立つ二人のお爺さん、馮道と胡進思についても調べてみた。

ここから先は中盤までのストーリーのネタバレが含まれます。ご注意ください。

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「太平年」微博より 90歳過ぎても鎧のお手入れを欠かさない胡進思さん。怖いw

君主(中原)の移り変わり

何しろ君主がどんどん変わるので整理してみた。ドラマなので大人が演じているわけだが、実年齢が分かるとおバカな行動も温かい目で見られる、かも。ドラマでは描かれない部分も捕捉してみた。

 

〇後晋(936年-947年):石敬瑭(初代)→石重貴(二代目)

ドラマで呉越王の死後一番優秀と思われていた三哥・錢弘侑を追い落とす奸計が繰り広げられている間に、中原では石敬瑭が亡くなって石重貴(任宥纶 飾)の代に。この時生じる遼(契丹)との戦がドラマ前半のクライマックスとなる。

石重貴が即位したのは28歳くらい(942年)なんで幼帝ではないのだけれど、如何にもやり方がまずかった。上下があるとはいえ協力関係だった契丹に対して強硬策に出、見事に反撃を食らってしまう。勝てない相手に喧嘩を売っちゃダメ、という典型例だ。

 

南下した遼軍の先鋒は後晋を裏切った将軍・張彥澤(贾宏伟 飾)。第一集冒頭でも目を覆うような残虐さが描かれていたけれど、首都・開封府でも略奪、殺人しまくったのはほぼ史実通りのようだ(楚夫人については少々違う話が中文Wikiに載っていた)。特使として開封府に向かっていた主人公・錢弘俶(白宇 飾)と臣下の水丘昭券(保剑锋 飾)もこの騒ぎに巻き込まれてしまう。ここで第三の主要登場人物・郭栄(俞灏明 飾)との出会いもある。

ドラマでは当時の情報伝達のタイムラグによる混乱ぶりも上手く描かれている。都に近づくまで主人公たちは何が起きているのかさっぱり分からない。誰が味方で誰が敵なのかも五里霧中。天子がメンタルをやられて引きこもってしまっているので、役人たちは朝廷に集まっていても状況が分からず手も打てない。

 

結局遼が開封府を引き上げるまで手も足も出ず後晋は滅び、石重貴と家族も遼に連れ去られた。ドラマでは言及されないけれど、石重貴は連れ去られた後どうなったんだろうか?

中文Wikiによれば悲惨な人生だったようだ。契丹の奥地の黄龍という地に流刑となったがここでは食べ物にも事欠く有様。遼のトップが代わって少しは改善されたようだけれど病になっても医者も薬もない状態だった。それでも本人は60歳まで命を長らえた。幸せだったかどうかは分からないけど。

 

〇後漢(947年-951年):劉知遠(初代)→劉承祐(二代目)

契丹が開封府を占領した時点で河東節度使だった劉知遠(于洋 飾)が皇帝を名乗り建てたのが後漢。五代の中で最も短く、4年しかもたなかった。

ドラマでは主人公たちが開封府から戻る台州で糧食の大々的な横領を見つけてしまい、その解決にあたっている頃から25集の結婚式辺り。台州の話はドラマ内ではかなり長い尺が取られているので混乱するけど、後漢初代の劉知遠は即位後1年で亡くなってしまう。

 

後を継いだ次男の劉承祐(林俊毅 飾)の実年齢は17、8歳。五代十国時代を記した「五代史」には「族誅(五族とか九族皆を罪に問うアレ)は(後)漢代に最も多く行われ、罪の重さ、理があるかどうかに関わらず罪があれば極刑が下された。…(二人の帝はじめ大臣たちは皆)この禍にあい、誰一人安楽に死を迎えることはなかった」と書かれている(4年間なのに!)。

劉承祐はドラマで描かれた通り、自分の意のままにならない邪魔な臣下を皆殺しにしてしまった。…後先考えない若者がトップに立つのは恐ろしい(但し家臣殺害については後代の安寧の世を築く基礎となったとの評価もあるby中文Wiki)。

結局自分たちの今後を恐れた部下の蜂起が相次ぎ、劉承祐も蜂起の中殺害されてしまう。

現帝の死後残された先帝の息子(養子)を皇帝に据えようと迎えが出されたものの、郭威の部下たちが郭威を皇帝に押し上げてしまい、後漢は滅亡する。ドラマではこの息子・劉贇は名を変え身分を隠して隠遁するよう宰相の馮道に諭され命を長らえるが、史実では郭威によって殺されてしまったようだ。

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35集時点では中原の支配国は後周、皇帝は郭栄の養父・郭威(郭家は郭栄の叔母の嫁ぎ先で郭栄は幼いころから郭家で育ったらしい)。郭威が即位した時点で郭栄は30歳。養父と共に軍務経験もばっちり積んでいるし、後を託しても安心?

 

五代全部に仕えた宰相・馮道(董勇 飾)

こんなにころころトップが代わるのに、ずーっと宰相の地位に居続けた馮道。生まれは882年なんで、後周成立当時で69歳。もうちょっと歳かと思ってた(笑)。

官僚としてのキャリアは後唐からで、後晋時代には契丹への使節を務め、戻ってきた後は軍政を一手に引き受けることになった。後晋が滅び契丹が開封府に入った際も太傅の地位を与えられ、後周設立後は太師、後漢では中書令…とにかくずっと文武百官の一番偉い人。

忠義、という面から宋代や清代の歴史家の間では大変評判が悪かったようだ。

 

ドラマで描かれる馮道は徹底的に「官僚」だ。政治的な野心を一切見せず、動乱の際もできることがなければ動かない。政権が代わっても粛々と仕事する。二代目の皇帝たちの乱行を止めることもしないのはどうかと思うけれど、それは自分の仕事ではないと割り切っているのだろう。

まあこうした人物が官僚をまとめていなければ、中原はとっくに国としての機能を完全停止していただろう。トップが何をやらかしても「国」としての形を保っていたのは馮道たち官僚の努力の結晶なんだろうと思う。

「太平年」微博より 多くの君主の栄光と没落を横目で見ながら宰相続けられる馮道さんってメンタル激強?

呉越王たちVS胡進思

中原の政権がころころ変わっている間、呉越が無事だったかというとそんなことはない。大王はこちらもころころ変わる。裏にいるのは将軍・胡進思(倪大红 飾)。

 

倪大红の怪演でバケモノじみて見える(常に肉を食らってて怖い)けれど、実際バケモノじみた人だったようだ。4歳で読み書きができ7歳で作文が書けるようになったが17歳の時進士に落ちて学業を断念、剣術の道に。優秀な人物と親交を結び知力胆力に優れていた。呉越の始祖・銭鏐は塩商人から身を起こした人だけれど、胡進思は彼に随行し建国の重臣の一人となった。主人公らの父・銭元瓘も胡進思の功績を重んじ、大将、左丞とした。

一方で権力への執着も強かったようで、銭元瓘が亡くなると政に干渉し権力を拡大した。

ドラマの中でもしょっちゅう「90過ぎだから…」と言っているが錢弘佐が王位を継いだ時すでに90歳。クーデターを起こした時点では100歳近かった。

 

〇vs錢弘佐(在位941-947)(吴昊宸 飾)

父帝が亡くなって跡を継いだ六哥。ドラマでは成人だけど実際は12歳。…子どもだ。

ドラマの中では架空の税の取り立て、糧食の横流しが大問題になり、裏にいるのは…という展開になっていたけれど、帝に取り入った商人の程昭悅の件の裏には史実でも胡進思の影がちらつくようだ。

10代の子供が老練な胡進思に勝てるわけもなくおもねる結果になったのは史実通り。12歳から心労を重ね18歳で病に倒れてしまった錢弘佐、可哀想。

 

〇vs錢弘倧(在位947-948)(朱嘉琦 飾)

錢弘佐の後を託された七哥。実はこの時彼も18歳。多分母親が違うんでそうなるんだと思うけど、銭家の兄弟は歳が近い。ドラマの主人公・銭弘俶も七哥と同じ歳。普通だと兄弟間で跡目争いが起きそうなものだけれど、銭家の兄弟は仲が良いよなあ。

ドラマでの錢弘倧の胡進思暗殺計画とその動機はお粗末そのものだったけれど、18歳だと聞けば多少納得ができる。上の兄(養子)2人は幽閉され三哥・錢弘侑は庶人に落とされ(ドラマでは黄龍社で元気にしているが史実では945年に殺害)、直ぐ上の兄は傀儡にされた挙句早世…と続けば、不倶戴天の敵を先ず始末しなければ、という気持ちにもなるだろう。

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ドラマの35集では、クーデターの挙句、王位につかざるを得なくなった銭弘俶が徐々に胡進思の権力を剥いでいる最中。

 

命を狙われたからと言って100歳近くでクーデターを起こす胡進思の気概には感服するけど、4歳で読み書きができる程頭のいい人が市井の人々を考えず、ひたすら権力を追い利を貪る姿には失望せざるを得ない。

史実では胡進思に王位から引きずり降ろされた錢弘倧は胡進思から命を狙われ続けるが、先に倒れたのは胡進思の方だった(でも病死)。951年には今の紹興に錢弘倧の宮殿が建てられ、銭弘俶は兄が44歳で亡くなるまで厚く遇した。

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…こうして見てみると王室に生まれるもんじゃないなー、という気がしてくる。10代の子供に天下国家や臣民のことを考えろ、と言ったって限界はあるだろう。何をしても止める人がいなければ暴走も間違いもするだろう。軍略も政治もばっちりな諸葛亮みたいな部下が必要だけど早々見つかるわけもない。

乱世という難しい時代に生まれ、若くして多くの責任を背負い込むことになってしまった彼らは「とても気の毒な人達」と言うべきなのかもしれない。

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題名:太平年 Swords Into Plowshares/The Age of Peace 48集

編劇:董哲「山河月明」

導演:杨磊「三体」「金庸武侠世界」 陆贝珂「三体」視覚効果監督 

   潘宇 闵国辉「九州天空城」アクション監督

出演:白宇 周雨彤 朱亚文 俞灏明 董勇 倪大红 その他沢山

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