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「披荊斬棘第4季」は生真面目なリアリティショー

Xでこの番組に言及されている方々がいて、気になったので視聴。

基本的には各グループで歌や踊りの舞台の出来を競い合う音楽番組だけど、舞台を作り上げるまでの人間模様を描くリアリティショーの側面が強い。

登場するのは歌手に限らない(俳優さんも多い)けれど、大人数なこともあり知っている顔も多い。舞台が思いのほか凝っていて面白く、人間模様も書きたいことが溜まってしまったので、改めて記事にしました。

ここから先は第三次舞台(の前哨戦)までのネタバレが含まれます。ご注意ください。

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「披荊斬棘」微博より 出演者の意外な面が見られて面白い番組です

概要とシステム

哥哥們(年長組)と弟弟們(年少組)に分かれて競い合う。総勢34名という大所帯で、歌手ばかりでなく俳優業メインの人やその他も混ざる。でも基本的に「歌」で勝負のようだ。

哥哥們と弟弟們は更に細かく4~5人のグループに分かれ歌と踊り(アクションとかお芝居とかの表現も)で一曲を仕上げる。その製作過程がリアリティショーの部分だ。

出演者は(仕事があれば抜けるようだけど)合宿所で共同生活を送る。出演者同士が寝食を共にし、グループで演目を練習したりすることで絆を生む仕組み。

 

仕上げた舞台は一般公開され、観客の支持の多さで勝ち負けが決まる。基本は哥哥們VS弟弟們で総合得点が多い方が勝ち。勝った側から脱落者は出ない。負けた側の中で、一番観客からの支持が低い出演者2~3名ほどが「淘汰(脱落)」となる。

 

尚1回目の公演の後哥哥們と弟弟們のトレードがあり、数名が移動になった。

 

舞台は本格的

エンドロールを見ると各班毎に専属の演出家・スタッフが組まれるようで、人数も大変多い。セットもそれぞれ凝った大掛かりなものが作られるし、演出も華やか。

最初に曲決めがあり、その後スタッフが考えた演出案と、キャスト側で盛り込みたい要素を打ち合わせて演出プランが決まる。打ち合わせの模様もOAされるので、どういうやりとりでこのような演出になったのか,過程が分かって興味深い。

キャスト側としては

①相手に勝つために、自分たちのチームの強みを生かした演出を考える

と同時に

②チームメンバー各々が観客の支持を得られるように、メンバー一人一人の見せ場を作る

ことを考えなければならない。知名度の低いメンバー、目立たないメンバーは観客の支持を得られず、淘汰の対象になるからだ。

 

ギミックとして面白いのは、チームリーダーは、観客の投票が最も多かった出演者が指名されるということ。人気があるからといってリーダーの経験が多いとは限らないし、当人は淘汰されない安全圏にいるのでボーダーラインにいるメンバーに対しての責任感は大きくなりプレッシャーもかかる。

脱落するメンバーより、リーダーの方がショックで泣き崩れてしまう、という場面も多い。

番組は要所要所で細かくインタビューしているので、その時々の心情が本人の口から語られるのも良いところ。

 

出演者はどんな人?

哥哥們は30歳代~50歳代と年齢層は幅広い。見たことがある顔が多いのも、哥哥們。弟弟們も年齢制限があるわけではなく、30歳過ぎの人もいる。正直、どうしてこの人が弟弟們?と言う場合も。有名、無名取り交ぜてといった人選で、日本、マレーシア、タイ等海外組も混ざる。職業も歌手ばかりでなく、俳優はもとよりダンサー、モデル、マジシャン、ショッピングChのキャスター等バラエティ豊か。ただ、歌手以外の人も必ず歌わされるし、ダンスも必須。今までのところで印象に残った人を挙げると…

 

李克勤 Hacken Lee 哥哥們・歌手

80年代から活躍する香港の大物歌手。中国の歌番組への出演も多い。

代表曲に「月半小夜曲」「紅日(「それが大事」のカバー曲」等

皆から尊敬の眼差しで見られる大御所。人当たりが良く、若い人にも優しい。

デビュー当時の苦労話なんかも披露してくれる。日本からわざわざ来てくれたAKIRAを一度くらい勝たせてあげたい、だから頑張る、等と言ってくれる、とても良い人。

 

梁龙 Long Liang 哥哥們・歌手

この番組で初めて見たけれど、奇抜な衣装で独特のロックを奏でるチチハル出身の歌手。…どっちかというとパンクロッカーという感じだ。言葉の通じないAKIRAにもガンガン話しかけるバイタリティ溢れる人。

 

徐海乔 哥哥們・俳優

「夢華録」「蒼蘭訣」等で知られる俳優さん。反派の役が多いけれど、本人は極めて明るい人のようで、歌も踊りも上手で驚いた。踊っている時の身体のラインが美しい。仲間や後輩の面倒見もいい。俳優さんはこういう面倒見のいい人が多い印象だ。

 

胡夏 Fox Xia 弟弟們・歌手

OSTを百曲以上歌っている(最近だと「蓮花楼」や「玉骨遥」等)歌手。歌番組への出演も多く、誰もが一度は彼の歌を聴いたことがあると思う。

人気も高くてリーダーを任されているけれど、本人はリーダー役をしたことがない上に内向的でなかなか思ったことを口にできず、苦戦中。グループ内で脱落者を出してしまい、次の回で部屋に閉じこもってしまう場面も。

 

早安 弟弟們・ラッパー

ラップの名曲「麒麟」を歌っていた人だ。弟弟們では胡夏と人気を二分している印象。こちらもリーダーなんかやったことがない!というので胡夏と同様に悩み中。歌手は基本一人で舞台に立つからなあ。ダンスが上手くできないメンバーの為にラップの歌詞を徹夜で書き下ろしたり、とても真面目な人みたいだ。

 

MIYAVI 哥哥們→弟弟們・ギタリスト

日本からはこの人とEXILEAKIRAが参加。とにかく若いキャストに人気で、しょっちゅう彼らに囲まれてギターテクの披露をせがまれている。英語と片言の中国語を話し、コミュニケーション能力も高くてびっくり。

 

鳳小岳 Rhydian Vaughan 弟弟們・俳優

国籍はイギリスだけど、台湾映画やドラマでよく見かける俳優さん。代表作に「艋舺(モンガに散る)」「華燈初上」等。歌も歌っているとは知らなかった。

 

李泽锋(哥哥們・俳優)/王一哲(弟弟們・俳優)

李泽锋はベテランの俳優さんで「亲爱的,热爱的」「鬓边不是海棠红」「骊歌行」なんかに出演。王一哲も「骊歌行」「一念关山」等に出演、「玉楼春」では主役を務めた。二人とも何でこの番組に?俳優さんとしてはどちらも実力派なんだけれど、残念ながら番組内で演技を披露するところはない…一般観客への知名度が今一つなこともあり、淘汰されてしまった。残念。

「披荊斬棘」微博より 徐海乔さんたちのチーム 罗云熙とデュオを組んでいた符龙飞も参加

雰囲気は和気あいあい

観客の投票による淘汰があるものの、番組の基調は「みんなで楽しく真面目に舞台を作る」というイメージで統一されており、他の番組のように皆が真剣過ぎてギスギスした空気だとか、脱落者が辛そうで観ていられない、ということはない。哥哥們と弟弟們が競っているからといってギクシャクすることもないし、むしろ先輩は若い出演者に対して鷹揚且つ親切だ。

これは出演者の年齢層が普通のオーディション系番組より高いせいもあるだろう。哥哥們はそれなりに業界で成功している人なわけだし、弟弟們も年齢層が幅広い分、大人が多い。

 

ただ、歌うのは必須だしダンスが必須の場合も多い。特にヒップホップ系ともなると、哥哥們や一部の歌手にはなかなか難しい側面も。乗り越えるには一生懸命練習してマスターするか、別の演出を考えるしかない。

実際、歌もダンスも得意ではない俳優の向佐(香港のアクション俳優)は、とうとう挫折して自ら番組を去ってしまった。

 

一方で、得意でない分野を何とか克服しようと支え合ったり、互いに指導する様は、出演者の真剣さが伝わってきて見応えがある。中国の芸能界は広いし、視聴者に顔を覚えてもらうのも大変そうだ。特にリーダーを任された出演者が仲間が淘汰された時に非常に辛そうなのは「仲間のチャンスを自分が潰してしまった」という自責の念に駆られるせいもあるんだろう。

 

今後の展開

前季では公演は5回あり、最終的に十数人が「家族」として認定されたらしい。2名ずつくらい淘汰されていたようなので、今回も似たような感じなのではないかと思われる。

 

出演者はグループ内だけでなく、他のメンバーとも仲良くなっていくので(合宿所なので部屋は3人部屋で、グループは関係ない。そして恐らくはまたグループメンバーの入れ替えやグループ作り直しがあるようなので)思いがけないケミストリーが生まれるかもしれない。

第三回のリハまでは配信されており、偉い人(多分総合演出とプロデューサーだと思う)にいろいろダメだしされていた。評価が低かったグループはここから更に頑張る、はず。

楽しみだ。

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題名:披荆斩棘 披荊斬棘 Call Me By Fire

総導演:吴梦知 音楽総監:陈伟伦

 

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