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中国ドラマと香港映画について書いています 記事についてはINDEXをご参照ください

「開始推理吧」第2季を大真面目に推理する①

「開始推理吧」第2季が始まった。1季よりセットがグレードアップ(主にロケセットだけど)、ミュージカル風の演出は入るし、主題歌も作るしで力が入っていて楽しい。 出演者の様子をただ見ているだけでも十分楽しけれど、推理バラエティなのだからちょっとし…

2024年4月視聴作品短評

主役三人を見ているだけで幸せになれる「蓮花楼」とストーリーが面白い「群星閃燿時」以外、熱心に観たいものがあまりなかった四月。 ---------------------------------- 豆瓣より「虚顔」ポスター 虚顔 配信当時評判の良かった短劇。面白かったです。 通常…

記憶の中の香港映画9 厳しい修業は何の為?「七小福」(1988)

ジャッキー・チェン、サモハン・キンポーらの幼少期を描いた「七小福」(邦題同じ)。以前は配信されていたんだけど、いつの間にか消えてしまった。 この映画、ジャッキーやサモハンを知らなくてもカンフー映画が好きでなくても充分楽しめる、と思う。 ここ…

「2024愛奇芸世界大会」紹介作品覚え書き

24日に行われた「愛奇芸世界大会」でこれから配信予定の作品の予告編が沢山公開された。 「世界大会」なんて名前がついているから、世界のバイヤーを招待して行う見本市かと思ったけど、どうも関連会社の総会、と言った趣のようだ。「世界大会」じゃなくて「…

今更ながら「周生如故」のモデルを調べてみた

「悲恋」という言葉で腰が引けて今まで観ていなかった「周生如故」(邦題:美人骨 前編:周生如故)…。観始めたら面白い。 ロマンスが中心というより、中央の滅茶苦茶な権力闘争に翻弄される二人の物語だ。主役の二人、任嘉伦と白鹿の抑えた芝居は深い余韻に…

スリリングな子連れの逃亡劇「群星閃燿時」~10集まで

特にチェックもしていなかった作品だけど、李現主演…と思って観てみたら、意外に面白い。舞台は民国期の上海。両親の殺害犯から8歳の女の子を守りながら、真相を探るサスペンスもの。 ここから先はストーリーに触れています。ご注意ください。 「群星閃燿時…

上出来の推理バラエティ「開始推理吧」

「開始推理吧」の第2シーズンがもうすぐ始まるらしい。ポスターや出演者や予告が次々発表されて、楽しみだ。 第1シーズンはとても面白かった。作りは推理ゲームのアトラクションに近いけれど、お話の展開が大変よく練られていて、唸らされた。 推理バラエテ…

作品INDEX

記事数が増えたので、INDEXを作りました。 ドラマ・映画のタイトルから該当記事に飛べます。タイトルの順番は大体あいうえお順…のはず。 各タイトルは原題・英語タイトルのあるものは英語・邦題の順に並んでいます。 記事が複数あるタイトルは①に飛びますが…

大人風味の神仙劇「與鳳行」

赵丽颖自身がプロデュースも務める大作古装ファンタジー。原作は「蒼蘭訣」や「招揺」等の人気作家、九鹭非香。 主役二人が大人で演技も上等なので、ストレスなく観ていられる。戦闘シーンの華やかなCGに見惚れているうちに完走しちゃった、そんな感じ。 以…

記憶の中の香港映画8 「東方不敗」という大スターを生んだ「笑傲江湖II 東方不敗」 (邦題:スウォーズマン 女神伝説の章)

徐克製作の映画版「笑傲江湖」は3本あるけれど、個人的には二作目が一番面白いと思う。 「東方不敗」を初めてヒロインに昇格させた、記念すべき作品だ。なぜ一作目がサブスクにあって二作目がないのか、本当に不思議。 ----------------------------------- …

爽やかな小品「花間令」

設定に一捻りある古装探案恋愛ドラマ。 設定の意外性は後半まで割と効果的で、甘い展開を期待する視聴者の要望に上手く答えていると思う。探案ものとしては割と淡白だけれど、最終盤は盛り上がる。何より刘学义をはじめ、役者さんたちがよい仕事をしており、…

2024年3月視聴作品短評「三体」「愛情而已」

「玉骨遥」は振り落とされそうだし、「与鳳行」には追い付いてない。「花間令」は別記事にする予定。武侠もの、何か来ないかな…。 「愛情而已」公式微博より ドラマの印象もこんな感じで明るい -------------------------- Netflix版「三体」 原作は刘慈欣の…

中国ポップスの名曲「再回首」

年末から春節の特別番組で一番歌われていた気がする「再回首」。胡歌や秦昊が歌っているのを観たし、つい先日は電視劇品質盛典で刘宇宁が素晴らしい歌唱をみせてくれた。 この曲がこんなに歌われるのは1990年代初頭をテーマにした二つのドラマ「繁花」と「慢…

2匹目のドジョウは?「流浪地球2(邦題:流転の地球 太陽脱出計画)」

2019年に公開された「流浪地球(邦題:流転の地球)」の続編。 1本目はSF映画の秀作だった。 2本目は前作を越えようとして、あれこれやりすぎちゃった感じだ。 ここから先は1作目、2作目のストーリー及びエンドに関するネタバレがあり、且つとても辛口で…

「与君歌(邦題:与君歌~乱世に舞う運命の姉妹)」は過酷なサバイバル劇

「与君歌」がBSで放送になる。「蓮花楼」「沈香如屑」も放送開始だし、成毅の代表作は殆ど日本公開されることになる。ついに成毅の時代が来たってことなのかもしれない。 日本でも人気が出るといいけど。ついでに「底線」も放送してくれないかな。 「与君歌…

ポップで無国籍ドラマ版「唐人街探案2」

映画のシリーズ「唐人街探案」のスピンオフ第2弾。スピンオフとは言っても、映画とはだいぶ趣が違う。映画とストーリー的繋がりは殆どないので、観ていなくても大丈夫。第1季は観た方が楽しめるけど、こちらも観ていなくても大丈夫だと思う。 全16話のうち…

(多分)日本で配信されている唯一の中国の歌番組「歌手·当打之年」 (邦題:「歌手 2020」)

韓国ポップスと違って中国の歌謡番組はまず日本では配信されないけれど、この番組だけは日本で配信されている。恐らく日本からMISIAが出ているからなのだろうけど、周深、毛不易、华晨宇等が出演していて聴き応えがあった。 「歌手·当打之年」豆瓣より 10年…

ファンタジーかと思ったらシビアな政争劇だった「紫川·光明三傑」

撮影から3年も経ってお蔵入りかと思われていた「紫川」が配信になった。 ファンタジー超能力バトルものかと思っていたら、意外に骨太なドラマだった。前半は「政争」後半はシビアな「戦記」で、面白かった。義兄弟の絆も熱い。 ストーリー及びエンドに触れ…

記憶の中の香港映画7:笑傲江湖(日本語題名「スウォーズマン 剣士列伝」)

日本語のタイトルからは気づきにくいけれど、金庸原作の「笑傲江湖」だ。 香港では1990年代、華やかなワイヤーワークを使った古装片の大ブームが到来するが、その先駆けとなった一作で、「笑傲江湖」「笑傲江湖II」「東方不敗 風雲再起」とシリーズで製作さ…

違和感が拭えない「大唐狄公案」(~最終集)

狄仁杰ものってこんな感じだったっけ?という疑問は砂漠の街に舞台が移ってから更に大きくなることに。…最後まで観るには観たんだけど。 今回は辛口でだいぶネタバレしています。ご注意ください。 ---------------------------------------- 「大唐狄公案」…

2024年2月視聴作品短評

「馭鮫記之與君初相識·恰似故人歸」(日本語題名:「馭鮫記」)~後編8集まで 「馭鮫記」豆瓣より 黒基調の迪丽热巴のこの衣装が好き 奇幻古装ロマンスもの。地仙を教化・訓練する御霊師と鮫族の青年との恋物語。 中国ドラマで「鮫族」と言えば人魚のことで…

狄仁傑絡みの二つのドラマ「大唐狄公案」(~15集)&「唐朝詭事録」

官吏であり名探偵である狄仁傑を主役にした「大唐狄公案」。原作はロバート・ファン・ヒューリックの同名小説。狄仁傑のシリーズは今までに何度も映画・ドラマ化されてきたけれど、今度のドラマの狄仁傑は今までのイメージとだいぶ違う。 探案ものですのでネ…

記憶の中の香港映画6: 「最底辺の悲惨な生活」ではなく彼らの「家」を描いた秀作「籠民」

「阿麦従軍」の記事を書いた時に張之亮の名前を久々に見たので、今回はこの監督の代表作「籠民」について。 香港の最下層の宿「籠屋」。大きな部屋に所狭しと三段ベッドが並べられ、一つずつ鉄網で覆われている。一つのベッドが「一部屋」だ。そこに暮らす人…

…いろいろ惜しい気がする「阿麦従軍」

「阿麦従軍」観終わった…ぶつぶつ言いながら。 男装して従軍する女性、と聞くと「ムーラン」を思い出すけれど、雰囲気はだいぶ違う。全体にラブロマンス要素多め、戦闘少な目なので、戦場での活躍や爽快なアクションを期待すると肩透かしを食らう。登場人物…

「顕微鏡下的大明」(「天地に問う~Under the Microscope~」) 分かりにくい?ところを整理してみた

「顕微鏡下的大明」がちゃんとした日本語字幕で見られる。とても嬉しい。 というのもこのドラマ、そもそも税金の話でとっつきにくい上に、表面的な「人頭絹布税」の不公平という話の裏にあるもっと大きな問題、登場するお役人たちそれぞれの立場や考え、最後…

「春晩」ほか 春節特別番組を真面目に見てみた

旧正月の大晦日・元日は中国の各局とも特番で編成される。大晦日は日本でいえば「紅白」にあたるCCTVの「春晩」、元日の夜は衛星放送各局の特番が放送される。歌手にとっては特に忙しい季節と言っていい。 今年は時間に余裕があったので、視聴可能なものをな…

香港への挽歌「燈火闌珊」(「ネオンは消えず」)

香港のネオンの9割が消えたそうだ。 冒頭で流れるナレーションとすっかり暗くなった香港の街並みを見るだけで、心が痛んだ。 街が変わっていくことは仕方がない。 ただ、あのちょっとけばけばしい、過剰なほどキラキラした明かりが好きだった。老舗の高級店…

ケレン味が楽しい「雲之羽」

ストーリー及びラストに触れています。ご注意ください。 「雲之羽」微博より 雪重子、可愛い上によく動く -------------------------------- いつか分からない時代、山奥で対立する二つの門派。一つの門派の郷は毒霧に包まれ秘術を隠し持ち、郷の裏には更に…

記憶の中の香港映画5 全盛期の周潤發を是非!「賭神」(「ゴッド・ギャンブラー」)

「亜州影帝」と呼ばれた周潤發の魅力を堪能できる作品。とにかくカッコいい。 何も考えないで、90分を楽しく過ごせる、きわめて香港近映画らしい映画を作る王晶が脚本・監督も務め、周潤發の魅力を最大限引き出した。 以下、ストーリーに触れています。 豆瓣…

2024年1月視聴作品短評

「慢長的季節」(日本題名「ロング・シーズン 長く遠い殺人」) 豆瓣で高評価を得たドラマ。事件が起きた10数年前の過去とそれを解決しようとする現在が交互に描かれる。複雑な事件ではないので、ミステリというより、事件関係者の10数年に渡る人生を眺める…