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記憶の中の香港映画5 全盛期の周潤發を是非!「賭神」(「ゴッド・ギャンブラー」)

「亜州影帝」と呼ばれた周潤發の魅力を堪能できる作品。とにかくカッコいい。

何も考えないで、90分を楽しく過ごせる、きわめて香港近映画らしい映画を作る王晶が脚本・監督も務め、周潤發の魅力を最大限引き出した。

以下、ストーリーに触れています。

豆瓣より「賭神」正式ポスター

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日本でも「英雄本色」(「男たちの挽歌」)で一躍有名になった周潤發は、苦労人だ。香港の離島に育ち、家が貧しく中学卒業後から働き始め、様々な職を転々とした。18歳で香港のテレビ局TVBの養成コースに合格し、芸能界入り。6年後、連続ドラマ「上海灘」のヒットで映画界に進出するも、主演映画は興行成績に結びつかなかった。「英雄本色」が爆発的なヒットを記録し、一躍大スターになったのはそこから更に6年後の1986年だ。

 

だからなのか、黒社会ものはもとより、シリアスな社会派ドラマからはっちゃけたコメディまで、種類を問わず様々な映画に出演している。「大丈夫日記」の時は頭に花を挿して太鼓叩きながら歌ってた気が…。

まあ、どんな時でも周潤發は周潤發なのだけれど。

 

王晶は、受けると思えば何でもあり、な映画を作る印象が強い人だが、自身が監督するとなると案外手堅い。

映画冒頭は「かっこいい」周潤發。日本での麻雀とツボ振り勝負(ツボを振るのはボディビル界の“百恵ちゃん”西脇美智子だ)で、賭神としての神業を見せる。

友人がイカサマポーカーに引っかかっているところを助けるパートは緊張感溢れる心理戦。劉徳華と王祖賢が登場すると映画はコメディ調で「可愛い」周潤發が登場。

緊迫感漂う終盤から爽快なラストまで、アクションあり、笑いあり、ちょっとほろっとさせるところまである。一つの映画の中にあらゆる要素を用意する、ワンプレートディナーみたいな映画だ。

 

劉徳華が仕掛けた落とし穴で、賭神は頭を打って記憶喪失になり、行動も10歳児並みに。(香港の街中でネズミの風船を持って、アイスキャンデー食べている周潤發は実に可愛い。)

ギャンブラーとしての才能はそのままだったため、劉徳華たちは彼を「賭神」に仕立てて金儲けをもくろむ、が失敗。賭神を狙うギャングと金貸しに追いかけられることになる。

 

この映画でのアクション担当は、劉徳華と向華強。向華強はプロデューサーとして名前を見かけることが多い人だが、アクションもキレッキレ。劉徳華が見せてくれるのはビルの建設現場での、竹の足場を使った小気味いいアクション。…それにしても、どうして香港ではどんな高いビルも、竹で足場を組むんだろう?危なくないのかな?

 

ラストの決戦時に登場する周潤發は、黒のタキシードに黒いコート。こういう格好が似あう東洋人は、そう多くない。廬冠廷のケレン味たっぷりの音楽と相まって、素晴らしく男前だ。

 

この映画のヒットで、香港映画に一時期「ギャンブラー」ブームが訪れた。続編も作られたし、周星馳もパロディ映画を作っていた。

 

特に凝った映像があるわけでも、ひねったプロットがあるわけでもないけれど、ひたすら楽しく、爽快感を味わえる。「賭神」はとても香港映画らしい映画だ。

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原題:賭神 God of Gamblers   導演・編劇:王晶 Barry Wong Jing 1989年

武術指導:王坤 Paul Wong Kwan 音楽:廬冠廷 Lowell Lo

出演:周潤發 Chow Yun-Fat 劉徳華 Andy Lau Tak-Wah 王祖賢Joey Wong Cho-Yin

   向華強 Charles Heung Wah-Keung

 

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