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「一念関山」は面白い④ まとめ

最後までとても面白かった。

先の読めない展開、大規模戦闘、感情的な揺さぶり…観たいと思っていたものを全部集めてドラマにしてくれた、そんな感じでラストまで一気に見てしまった。

…その後、もっとああしてくれたら、こうしてくれたら、という点もあったのだけれど、そういうことを考えること自体、面白かった証拠。

この作品、恐らく日本上陸確定だと思うので、沢山の方に六道堂や公主、主人公たちの活躍を見てほしいと思う。

 

いろいろ考えた挙句、最終盤の展開にはあまり触れないつもりですが(なるべく知らない方がきっと楽しめる)、多少ネタバレしているかもしれません。ご注意ください。

「一念関山」微博より 寧遠舟の見せ場。かっこいい。

 

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■シチュエーションが楽しかった

自国から敵国に向かう旅の一行、しかも自国からも敵国からも命を狙われている、という設定は緊張感に溢れていて、見ていて楽しかった。武侠ものだと主人公があちこち旅するのはお約束だけれど、グループで、しかも皆手練れで不可能なミッションをクリアしていくのはゲームでも見ているような楽しさがある。

「進退両難」な状態は終盤まで解決されず、楽しい旅であると同時に根底に悲劇の予感が付きまとっているのも、好きな点。主人公たちの台詞に、生と死に対する達観、そこから生じる楽観主義、裏に隠された複雑な感情が垣間見えて、何度も泣かされた。

 

■登場人物のキャラクター造形が秀逸

主人公たちだけでなく、旅の一行、そして敵国である安国の人たちまでちゃんとキャラクターが立っているのは流石。公主の成長には感動させられたし、六道堂の面々がじゃれているのは楽しい。如意と遠舟のカップルはしょっちゅう皆に茶化されているせいもあり、嫌味がなくて、むしろ可愛らしい。

自分の職務だからと、都に残してきた公主の元に戻ろうとする杜大人(呂行 飾)には泣かされた。いい人だ。朱衣衛の指揮使(張帆 飾)も、最初はただの嫌味な人かと思ったら意外に深みのあるキャラクターで、この人にもちょっと泣かされたり。脇のキャラクターにもちゃんと背景があり、ある種の見せ場があるのは素敵。

 

登場人物の多くが官吏、というか公務員で(六道堂だって朱衣衛だって公務員だ)、きちんと国や民のことを考え、自分の職務に責任を持とうとしている「大人」というのも新鮮だった。

 

キャラクターで一番感動したのは主人公たちより、公主(何藍逗 飾)だ。

いや、本当に立派になっちゃって。

公主の成長を通して(また両国のしょうもない国主を通じて)国主の責任とは何か、という問題を描いているのはとてもよかったと思う。

 

主人公二人のシーンはセリフも随分練られていて、印象的なシーンが多かった。勿論、刀鍛冶みたいに「そんなにすぐ出来るんかい!」って突っ込みを入れたくなるようなシーンもあるのだけれど、「宝物」と言って贋金を見せるところは、凄く好きなシーンだ。

 

ドラマの前日譚に当たる設定も相当密に作られているのだろう。寧遠舟が進めた六道堂の改革、陥れられ戦場に駆り出されるまで、とか。(こちらは好評を受けてスピンオフ作られてもおかしくないくらいボリュームがありそうだ)

梧帝が妙に剣が仕えて意外に強いのも、剣術やら戦術やらを学ぶのが好きで、腕に自信があり過ぎて無理な親征を企てたのかな、とか。

旅に出る前のキャラクターたちの姿をいろいろ想像できるのも楽しい。

 

それぞれのキャラクターと演じた役者さんについてはもっといろいろ書きたいのだけれど、書こうとすると最終盤の展開に触れないわけにはいかないので…。でも本当にどのキャラクターもきちんと掘り下げられていて、一本筋が通った武侠ものらしいキャラクターが多くて、良かったと思う。

 

■砂漠の撮影はご苦労様です…でも

「一念関山」微博より  運んでいるのは照明の足?重そう…


砂の多いところの撮影はとにかく大変だ。砂がちょっとでも入れば機材は壊れるし、俳優さんは目と喉をやられる。昼は暑くて夜は寒いし。正直、最終盤でこんなに大規模戦闘が続くと思っていなかった。本当に大変だっただろうと思う。

主人公たちがあっちへ行ったりこっちへ行ったりするので馬での移動カットが結構入るのだけれど、どれも美しい。砂漠ってフォトジェニックだ。

 

でも、少しだけ不満が。

背景は実景とCG合成を混ぜているので、いろいろ制約があるとは思うのだけれど、キャラクターが戦場のどの辺りにいて、味方の陣地(というか門と城壁)までどのくらいなのか、不鮮明だ。砂漠の真ん中にぼん、と門と町があるような印象なのだけれど、関なのだから、周囲は山か高台だよなあ…。いくら籠城戦でも、ただ門から討って出て、倒されて帰って来るのを繰り返すのは芸がない…。六道堂がこれまで行ってきた作戦は、一つ一つの段階を丁寧に描いていただけに、ここにきて大味なのはもったいないと思う。

 

■男主・寧遠舟と演じた劉宇寧について

役者さんは本当に皆良かったのだけれど、主役の二人は如何にも主役、で登場シーンも凝っていて毎回颯爽と現れるのでわくわくさせられた。

劉宇寧が男性のメインロールが初めてで心配、という声も多かったけれど杞憂だった。制作側も十分な準備と配慮をして、彼を上手く使っていたと思う。

六道堂の堂主、という立場で武芸の腕も立ち聡明、リーダーシップも十分、という設定は、ちょっと間違えると現実離れしてしまうけれど、演じているのがそこまで偉そうには見えない劉宇寧なので、部活のキャプテンくらいに見える。六道堂の面子がじゃれているシーンは、そのせいもあって何だか高校生男子みたいで可愛らしい。

寧遠舟の心情というのは、常に誰かに向かって語られているので、演技のせいで視聴者が迷子になるということもない。

勿論劉宇寧の芝居は制作側の期待に十分応えたものだったし、最終盤の戦闘シーンは足を骨折していたにも関わらず(今年初めの舞台では歩けず車いす移動だった)とても迫力があって、感動した。

ファンとしては、メインロール初めてでこれだけのドラマに出会えた幸運と、彼の努力を祝したいと思います。

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原題:一念关山 一念關山 A Journey To Love

編劇:張巍(「梦华录」) 

導演:周靖韜(「镇魂」「诛仙.青云志」)鄒曦「沙海」「终极笔记」

集数:40集  拍摄/制作年份:2022年 

音乐总监:陳雪燃(←音楽すごくいいです。さすがは陳雪燃です)

制作公司:柠萌影业・爱奇艺 播出日期:2023年11月28日~

 

出演:劉詩詩 劉宇寧 方逸倫 王一哲 陳宥維 李歡 何藍逗

 

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