lienhua’s Dragon Inn 龍門客棧

中国ドラマと香港映画について書いています 記事についてはINDEXをご参照ください

香港への挽歌「燈火闌珊」(「ネオンは消えず」)

香港のネオンの9割が消えたそうだ。 冒頭で流れるナレーションとすっかり暗くなった香港の街並みを見るだけで、心が痛んだ。 街が変わっていくことは仕方がない。 ただ、あのちょっとけばけばしい、過剰なほどキラキラした明かりが好きだった。老舗の高級店…

ケレン味が楽しい「雲之羽」

ストーリー及びラストに触れています。ご注意ください。 「雲之羽」微博より 雪重子、可愛い上によく動く -------------------------------- いつか分からない時代、山奥で対立する二つの門派。一つの門派の郷は毒霧に包まれ秘術を隠し持ち、郷の裏には更に…

記憶の中の香港映画5 全盛期の周潤發を是非!「賭神」(「ゴッド・ギャンブラー」)

「亜州影帝」と呼ばれた周潤發の魅力を堪能できる作品。とにかくカッコいい。 何も考えないで、90分を楽しく過ごせる、きわめて香港近映画らしい映画を作る王晶が脚本・監督も務め、周潤發の魅力を最大限引き出した。 以下、ストーリーに触れています。 豆瓣…

2024年1月視聴作品短評

「慢長的季節」(日本題名「ロング・シーズン 長く遠い殺人」) 豆瓣で高評価を得たドラマ。事件が起きた10数年前の過去とそれを解決しようとする現在が交互に描かれる。複雑な事件ではないので、ミステリというより、事件関係者の10数年に渡る人生を眺める…

「終極筆記」② エンド後に知らせておきたいあれこれ

「終極筆記」を最後までご覧になった皆さん、お疲れさまでした。 …怒ってませんか?あきれてませんか? 怒るのも当然だと思う。私も最初観た時唖然とした。何でここで終わるかなー。 …どうしても先が知りたかったので、いろいろ調べた。というのも、この先は…

江湖再見!「繁花」③~ラストまで

最後まで十分楽しんで観たのだけれど、何だか感想が書き辛い。 というのも終わりに近づくにつれ、本来の主人公阿宝(胡歌 飾)に感情移入しにくくなってしまったからだ。 彼の最後の闘いの前に描かれる、株に狂奔する人々の物語と汪小姐(唐嫣 飾)の物語で…

記憶の中の香港映画(今回は台湾だけど)4:「返校」の前日譚でもある「悲情城市」

「香港映画」と銘打っているけれど、これは台湾映画だ。この映画を観返そうと思ったのは単純で、台湾旅行で九份に行ったから。 この映画の舞台が九份だったことは、長いこと知らなかった。思い当たらなかった理由は簡単で、今私たちが写真で見る「九份」と、…

「繁花」②「あの時代」に引き戻すOST(~24集まで)

「繁花」、周囲の女性2人との話がメインになり、少々視聴意欲が下がり気味に。正直株式相場の一瞬先は闇、な展開の方が興味深いし、割と喧々ものを言う女性たちなので、喧嘩状態ともなると阿宝でなくても「煩いなあ」と思ってしまう。 それでも彼女たちが自…

「終極筆記」① 観る前に知っておきたい幾つかのこと

久々にFODを覗いてみたら「終極筆記」が来ていた。日本語字幕付きで「盗墓筆記」シリーズが見られる!しかもエンドロールのNG集にまで字幕あり。 「盗墓筆記」シリーズ、大好きだ。 「終極筆記」は「盗墓筆記」ドラマシリーズの中では(ドラマ内の)時系列的…

王家衛の万華鏡「繁花」①(~6集まで)

王家衛が作っている…という話だけ伝わってきて、一体いつできるのかさっぱり分からなかった「繁花」。2時間の映画ですらものすごく時間が掛かるのに、本当に連続ドラマなんかできるんだろうか(失礼)…と思ったけれど、昨年末から配信になった。 王家衛の映…

英雄を描くのって難しい「天龍八部之喬峯傳」(日本語タイトル「シャクラ」)

日本語のタイトルからはさっぱり分からないけれど金庸作「天龍八部」の映画化だ。 武侠小説は大体大長編だし登場人物も多いので、映画の尺に収めるのは難しい。大抵の場合二つの方法がとられる。 ①有名な部分か人物を中心に粗筋を辿る、ダイジェスト版 ②原作…

2024跨年演唱会(主にセットの話)

中国の年越しは基本旧正月だけれど、12/31には大手TV局がそれぞれ大規模なコンサートを開く。旧正月の年越し番組は歌の他に演芸やら群舞やらが入るけれど、大晦日のそれは純粋に多くの歌手が出演する音楽会といった趣。有名な歌手・俳優・アイドルが出演する…

2023年視聴中国ドラマの中からBest5を選んでみた

明けましておめでとうございます。 ブログを始める前は、多くの方に読んでいただけると思っていませんでした。 昨年記事を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。 本年も宜しくお付き合いください。 -------------------------------- 一年の…

記憶の中の香港映画3 古装学園ドラマの元祖「梁祝」(1994)

劉詩詩の名前を聞いたから、でもないけれど、旦那さんの呉奇隆の主演映画だ。 ------------------------ 呉奇隆は台湾のアイドルグループ「小虎隊」のメンバーで、グループの解散を機に香港映画に進出、この映画がほぼ初の主役だった(この前に出演した「新…

「一念関山」は面白い④ まとめ

最後までとても面白かった。 先の読めない展開、大規模戦闘、感情的な揺さぶり…観たいと思っていたものを全部集めてドラマにしてくれた、そんな感じでラストまで一気に見てしまった。 …その後、もっとああしてくれたら、こうしてくれたら、という点もあった…

記憶の中の香港映画2 悲しい恋人たちの物語 「アンディ・ラウの逃避行」原題:「天若有情」

ラストシーンに触れています。ご注意ください。 ----------------------------------- 豆瓣より香港版ポスター 吳倩蓮の顔が写ってない… 原題から分かるように悲恋ものだ。やくざ組織の末端の組員と、豪邸に住むお嬢様が出会い惹かれ合うけど、運命に引き裂…

「一念関山」は面白い③ 27集~34話辺りまで

実はラストまで観たのだけれど、ラストまで観たら「楽しい」だけではなくなってしまったので改題。 ラストまでダレることもなく、疾走感を以て物語が進んでいくのは流石。巧い脚本と節度のある演出、役者さんたちの好演、三拍子揃って見ごたえのあるドラマで…

一念関山は楽しい②~26集まで

26集で配信がひと段落。公主一行は自国を離れ、敵国で、人質奪還の交渉に臨む。 ここでの主人公は公主・楊盈だ。…いや、一行にはもっといろいろあったのだけど、25集・26集辺りの展開で公主が全部持っていってしまった。 ここから先はネタバレしています。 -…

「一念関山」は楽しい① ~10集辺りまで

11月28日から始まった「一念関山」。すごく楽しみにしていただけに、ドラマの出来が良くて嬉しい。 劉詩詩の6年ぶりの復帰作、ということでスタッフも豪華。原作なしのオリジナル作品で脚本が「夢華録」の張巍、監督は「镇魂」の周靖韜と「沙海」「终极笔记…

11月視聴作品短評「寧安如夢」「CODE浮士德遊戲」

「寧安如夢」 張凌赫は今までの役とは違いサイコな男主で、違った魅力がある。原声も低音で迫力があるし。白鹿は通常運転、という感じ。 「寧安如夢」微博より これは一世目のスチル 第一話はかなりのインパクト。悪徳皇后な女主の下に叛乱軍を率いる男主が…

記憶の中の香港映画1 気分はウェスタン!「ドラゴン・イン 新竜門客棧」

1990年代、私は香港電影迷だった。 この頃の香港映画は本当に面白かったのだけれど、配信全盛のこの時代、配信されない映画は歴史の中から消えてしまう。ならせめてネットの片隅にでも置いておきたい。…中にはDVDすら手元になく、本当に記憶の中にしかない作…

面白いけれど何だかもやもやする…「繁城之下」

見終わってからずっと、何だかもやもやしている。…話は綺麗に終わっているんだけど、何となく納得できない。いや、面白かったのだけれど。 今流行りの古装探案劇だ。主人公はまだ若い捕快の曲三更(白宇帆 飾)。彼が畑の中で,案山子に見立てた師父の他殺体…

「古相思曲」と2つのショートドラマ 後編

「古相思曲」の知竹監督の以前の作品「東欄雪」「長公主在上」の二つも見てみた。 どちらも一話2分という、趙ショートドラマだ。 果たして2分という短い時間で、ドラマが成立するのか? 2分と言えばニュースの特集程度の長さ。物語を語れないわけではない…

「古相思曲」と2つのショートドラマ 前編

「古相思曲」は流行りの穿越古装もので、30分枠×14集という中国ドラマにしては短い作品だけれど、面白い。 とにかく可哀そうな悲恋もので、最後まで見てから初回を見るとまた泣ける。特別編も上々の出来。低予算なのだけれど、よく練られた脚本と、絞りに絞…

「九義人(邦題:花の告発~煙雨に仇討つ九義人)」古装劇という仮面を被った硬派な社会派ドラマ

何というか物凄い題材を持ってきたものだと思う。しかもちゃんとエンタテイメントとして成立しているのがまた凄い。 恐らくは宋代の地方都市の所謂刺繍学校が舞台。その学校の代表・吴廉(乔振宇 飾)は男性ながら刺繍の腕一本で学校を立ち上げ、その刺繍作…

アニメとは一味違う 「異人之下」

一番最近視聴を終了したのがこの作品なので、まずはこれから。 「異人」と呼ばれる超能力者たちによるバトルもので、アクションはCGメインなものの、スピーディで面白い。 如何にも中国ドラマだと思うのは、超能力が天性のもの、というだけではなく、技を使…

初めに簡単な自己紹介

最初の記事ですので、簡単に自己紹介を。 年季のいった香港映画迷です。 80年代後半から90年代まで、香港映画にはまっていて、広東語を習い、挙句ビクトリアピークで結婚式を挙げたくらいでした。 当時の熱はやがて醒めていったのですが、2年半くらい前に中…