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2024跨年演唱会(主にセットの話)

中国の年越しは基本旧正月だけれど、12/31には大手TV局がそれぞれ大規模なコンサートを開く。旧正月の年越し番組は歌の他に演芸やら群舞やらが入るけれど、大晦日のそれは純粋に多くの歌手が出演する音楽会といった趣。有名な歌手・俳優・アイドルが出演するし、演出も派手なので面白い。正直、紅白より知っている歌が多いし…。

 

今年は摩登兄弟劉宇寧の出演する江蘇衛視の演唱会をメインに、時々成毅の出演する湖南衛視にザッピング。(最も規模が大きいはずのCCTVは今回はパス)

演唱会の出演順序はどういうわけか前日とか当日、ぎりぎりにならないと発表にならない。(誰が出演するのかもかなりぎりぎりにならないと発表にならない)日本の紅白みたいに、誰が何時ごろ出演、というのは発表にならないので、時々チャンネルを回す以外に進行状況を知る術がないのだ。

 

…いやあ、なんかすごかったです。出演者、というよりセットが。紅白の舞台が実に質素に見えるくらい。中国の番組ってお金あるんだ…

以下、各歌手のパフォーマンスについては殆ど書いてません。ほぼセットの感想だけ。

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■江蘇衛視

マカオのGalaxy Arenaで開催。16000人収容(武道館が14500人)とのことだけど、かなり大きく見える。

「江蘇衛視跨年演唱会」微博より こうして見るとSFチック

江蘇衛視、去年はものすごく高い場所(2階席超えるくらい)に2つ目の舞台を作っていて、舞台全体を映そうとすると歌手が豆粒にしか見えなかった。

今年は流石に反省したのか、手前と奥に舞台を組んで間を花道でつなぐ、というシンプルな形。宙に浮いた舞台が花道の途中に設けられていて(さすがに去年ほど高さはない)そこでも歌えるようになっている。割とシンプルなセットで、如何にもコンサート、という作り。

 

実際江蘇衛視の番組は歌手一人が一曲で交代、というのではなく、複数回登場して歌う形式で、その意味でもコンサートらしい。今回の目玉はシンガポールの歌手、林俊傑の30分にわたるパフォーマンスで、他に周華健(台湾)、周深、薛之謙、G.E.M.など豪華なメンバーが揃い、見応えがあった。

 

CGを多用した演出も美しかった。色が統一されていて、上品。周深は空中を泳ぐ大鯨の背に乗って歌っているのかのような演出(あれ、会場ではどう見えるんだろう?舞台上には本人の姿がなかった)だったし、単依純の背には大きな蝶の羽が生えていて、とても美しかった。

劉宇寧は先日配信されたばかりの「一念関山」の鎧姿で主題歌「奉上」を熱唱。背後の巨大な馬は博物館から借りてきたものだそうだ。…運ぶの、大変。

 

■湖南衛視

吃驚したのはこちらの方。一言でいうと「舞台の上に街ができてた」。

「湖南衛視跨年晩会」微博より 渾身の作らしく、かなりの数のセットの写真があがっている

開催地は海南省海口市の五源河体育場。4万人収容のスタジアムだそうだ。…みんな暖かいところでやるんだなあ。王一博、趙露思や今年ブレイクした成毅、檀健次等、歌手だけでなく俳優、アイドルグループ等が中心で、全体的に年齢も若い。

 

センターステージの横幅は広い。TVで見ていた日本の紅白の舞台が5つくらい入りそう。中央に5階建てくらいではすまなさそうなビルが2つ。これは巨大スクリーンにもなる仕様。その両脇には2階建て、3階建てのビルがいくつか並んでおり、屋上に上がれるし、部屋になっている部分もあってそこで歌うこともできる。

実際、王一博と大張偉のデュエットは建物の2階辺りの部屋(LSだと豆粒過ぎて何処で歌ってるのか分からない)で歌っていて、客席が背景になると星空のようで、とても美しかった。

「湖南衛視・芒果TV跨年晩会」微博より 「街」ですよね? 作るのに何日かかったんだろ…

ビル群の前は車両が通れる幅の道路があり、実際にバスやら車やらが登場する(時代少年団はバスに乗って歌ってた)。道路のセンター部分には横断歩道が書いてあるけれど、ここもスクリーンになる。誰の時か忘れたけれど、横断歩道が一瞬で水面になるのを真俯瞰から捉えたカットは綺麗だった。せり上がりも設けられていて、1.5Mくらいは上がっていた。

 

この舞台の中央から花道が伸びており、舞台の対面には屋台街の書割が並ぶ。上手に設けられた小さな広場には本物の屋台が並んでおり、ここが曲と曲の間の繋ぎ部分のスタジオとなる。出番が終わった出演者が、ここでインタビューを受けたり、実際にご飯を食べることもできる。…長丁場なのでお腹もすくよね。これはいい仕様。

 

ワイヤーも設置されていて、成毅は最初、吊るされて空中から登場。歌い手さんを吊るすのはちょっと、と思うけれど、歌いながら華麗に舞い降りてきた。さすがだ。

 

湖南衛視の番組は途中途中割と長いトークタイムがあって、間延びした印象だけれど、あれってカメラ移動とかセッティングに時間が掛かったせいだと思う。とにかく歌の内容より、次はこの巨大セットをどう使うんだろう、という好奇心で見てしまう、そんな感じ。

 

■浙江衛視

上記2番組が終了しても、まだ配信していたのがこちら。中国時間で年を越してもまだ番組が続いていた。開催場所は衢州市体育中心(30000人収容)。こちらはとにかく数で攻める!という感じで65曲のラインナップ。上二つが28曲なので、倍以上だ。出演順序も発表されなかったので、お目当てがいるなら見続けなければいけない仕様。

「浙江衛視跨年晩会」微博より 上2つと比べると極めてシンプル

舞台はいたってシンプルで、真っ白な円形の舞台が組まれ、中央が階段状になっており、歌手は袖からではなくそこから登場する。歌と歌の間に「間」が殆どなく、回り舞台でもないので、前半分・後ろ半分のリバーシブル仕様なのか…と思ったけど、空撮を観ると後ろは使えなさそうで、もしかしたら正面・左・右と使い分けているのかも。もしくは事前収録?

最終盤は真っ白な舞台に真っ白な明かりで、とても簡素。後で微博を覗いたら、前半はライティングはかなり派手だった。私が見たのは最後の方だったので、演出側もちょっと疲れちゃったのかも。

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いずれの番組も、OAが終わった後、セットのバラシに入るのだろう。元旦なのに大道具さん、徹夜で大変だ。…あの大きな舞台、一日でバラせるんだろうか?

ともあれ、お疲れさまでした。