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「春晩」ほか 春節特別番組を真面目に見てみた

旧正月の大晦日・元日は中国の各局とも特番で編成される。大晦日は日本でいえば「紅白」にあたるCCTVの「春晩」、元日の夜は衛星放送各局の特番が放送される。歌手にとっては特に忙しい季節と言っていい。

今年は時間に余裕があったので、視聴可能なものをなるべくたくさん観てみることにした。

「東方衛視」微博より 春節晩会のセット…キラッキラ



年末の特番はコンサート形式だけど、春節は「小品」と呼ばれるコント、「相声」という漫才のようなもの、ダンスなどが含まれる総合バラエティだ。家族揃って食事したりおしゃべりしながら見る、というのが定番なのだろう。会場も大抵屋内、手前のテーブルには招待客が座っている。番組の形式は「春晩」も各局の番組もあまり変わらない印象だ。

 

①2024湖南衛視 芒果TV 春節聰歓晩会 

フライング、というか春節休暇前の2月3日に放送された春節特番。番組構成は「歌」の合間にコントや漫才が挟まるスタンダードな作り。出演者は张艺兴、华晨宇、张杰、时代少年团、周深…と若い人向けなキャスティングだ。でも途中のコントや漫才が長くて、若い人が最後まで観てくれたかどうかは疑問。ステージは旧正月「紅」というより局のイメージカラーのオレンジで覆われている。

 

②2024 中国網路視聴年度盛典

①と同じく2月3日に放送。中国の動画配信プラットフォームが共同で作る年越し番組。

趣旨は「僕たち、健全な青少年育成に寄与する番組を配信してます」ということらしく、お笑い要素は薄目。歌の間には、亡くなった兵士の魂が実家に戻ってきて…等、シリアスな内容のお芝居が挟まれたりして、お客さんも涙していた。

番組は各プラットフォーム毎に区割りされている。勝訊、優酷、愛奇芸といったメインに加え抖音やBiliBiliなんかも参加。

歌は「出演俳優が自分のドラマの主題歌を歌う」というのがコンセプトのようで、冒頭
で挨拶しラストを締めた肖战をはじめ、白宇、白鹿、成毅、雷佳音、周深、吴京、秦昊等豪華。

セットも新年らしからぬ落ち着いた色合いで、配信に関わるスタッフのクオリティの高さが感じられて面白かった。

 

③春晩 CCTV 春節総歓晩会2024

旧正月の大晦日、4時間半以上にわたって全国放送される大型番組。物凄く力の入った番組でこれに出場することは歌手にとっても夢、らしい。事前に5回も歌手本人を呼んでのリハーサルがあるらしいし、選定基準も単に人気だけではなさそうで、いろいろ厳しそう。OAから数日過ぎても誰の出番が少なかったとか、誰が目立ちすぎとかの話題で微博が盛り上がっているのを見ると、この番組に出演するための競争は熾烈なんだろうと想像される。

 

会場は基本赤と金。椅子まで赤だし、出演者も多くが赤い衣装を着ているので全体的に真っ赤。客電も煌々と照っているし、バックダンサーも大量なので舞台の隅々まで明るい。…目が痛い。

 

なるべくたくさんの歌手を出演させようという意図からか、デュエットやグループでの歌唱が多い。歌手それぞれ、ダンサー、背景、観客をそれぞれ映さねばならないのでカメラ割がやたら細かく、各カット2秒ないうちに切り替わる目まぐるしさ。

特に地方に設けられたサテライトステージでは、ステージが1つではなくてタワーの上と下に分かれていたりして、目まぐるしさが倍増。空にはドローンが飛び、再会する親子(観客を装っているけど多分役者さん)の模様等もインサートされる。コーナーそのものがドラマ仕立て、というかストーリーがあるのだ。ただ詰め込み過ぎで正直、何が何やらわからない。

一方、漫才や手品といった出し物はやたら冗長で、勿論こちらが中国語が分からないせいもあるけれど、正直言うと退屈。

 

出演者は豪華絢爛だけど、ピンで歌っていたのは周深と毛不易くらいかも。

舞踊系は妙な演出が少ないので、一番見応えがあった。特に「詠春」。功夫の所作を舞踏にしていて、シンプルかつ美しかった。

最後は毎度出演歌手全員で「難忘今宵」を歌うのがお約束。

 

CCTV 第二届 中国電視劇年度盛典

ここからは元旦の番組だ。CCTVはLiveでなく、ドラマ関連の授賞式をやっていた。ドラマといっても恐らくは地上波(多分CCTVのみ)で放送されたものに限っているみたいで、知っているドラマが少ない。知っているのは「繁花」と「三体」「慢長的季節」「狂飆」くらいか。

授賞式なので別に面白くはないのだけど、「三体」で音楽賞をもらった陳雪燃のパフォーマンスがあってちょっと得した気分。それと「繁花」で爺叔を演じた游本昌のスピーチがなかなか感動的だった。…ここにも肖战の姿が。

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以下、皆時間が重なっているので、いろいろザッピングしながらの視聴。「春晩」の小型版みたいな番組も多いけれど、雑技団だけ、漫才だけ等の特番を組む局もあった。

ただ「春晩」と違って、生放送ではないのかもしれない。出演者が被っている番組もあるし。

 

⑤東方衛視 春節晩会

上海の局なので、出演者はそれなりに豪華。かなり長い時間やっていた。

番組としてはコントが長いなあ、という印象。出演者で印象に残ったのは任賢齊と周深くらい。あと虞书欣が可愛くて色っぽい衣装で出演していた。

 

⑥北京衛視 春節総歓晩会

一番出演者が豪華だった気がする。こちらにも肖战、周深、虞书欣が出てた。地域が違うから、被ったことにならない、のかな?セットは昨日の「春晩」をそのまま使っている(わけではないだろうが)かのような赤一色。

 

⑦2024 陜西衛視 丝路嘉年华暨丝路春晚

陜西衛視は西安辺りの放送局らしい。だからなのか、民族音楽よりのバンドや歌手ばかりを集めたコンサート形式の特番で、これが一番聴き応えがあった。曲調が好みというのもあるけど、セット全体がアースカラーで目に優しい(笑)。

 

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それにしても、どうして中国の放送局は演目表を直前にしか出さないのだろう。今回はほぼ全部当日になってからだった。それまで出演者も(大抵の番組は)発表しないのが不思議。(更に不思議なのはカウントダウンはすることだ。)さっさと発表して煽った方が視聴率、上がると思うんだけど。

 

春節特番の全体の印象は、若い人はあんまり見ないだろうな…、というもの。お爺ちゃんが見ているから、仕方なく付き合っている孫の姿が目に浮かぶ。歌手にしても「明るい歌」「おめでたい歌」を歌うことになるので、年末のような本気のパフォーマンスではなく、番組の雰囲気に合わせた観がある。観衆含めマスゲームっぽい側面もあり、面白さから言えば当然年末の方が面白い。

 

ただこういう番組は別の意義がある。

年末に「紅白歌合戦」を見ながら残業していて「一体何やってるんだろ…早く実家に帰りたい」としみじみ思ったことがあった。普段はそんなこと考えもしないのに。

番組は風物詩というか正月そのものの一部で、TVから流れてくるだけでその雰囲気を運んでくる。「春晩」もそうしたものなんだろう。

 

何にせよ、旧正月前後はテレビ局の人も出演者も大変そうだ。お疲れ様でした。

 

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