lienhua’s Dragon Inn 龍門客棧

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アニメとは一味違う 「異人之下」

一番最近視聴を終了したのがこの作品なので、まずはこれから。

「異人」と呼ばれる超能力者たちによるバトルもので、アクションはCGメインなものの、スピーディで面白い。

如何にも中国ドラマだと思うのは、超能力が天性のもの、というだけではなく、技を使いこなすには修行が必要だったり、技が一族に代々伝えられたりすること。…要は武侠ものと一緒(笑)。

このドラマ、原作は漫画でアニメは日本でも放送されている(「一人之下」)。アニメはどんな感じなのだろうと思って、日本で無料で視聴可能な二部(ドラマの中盤辺り)だけ見てみた。主だったエピソードはアニメでもドラマでも変わらないから、きっと漫画準拠なのだろう。そういう意味ではドラマはかなり原作に沿っているのではないかと思う。

一方でドラマに関しては、原作のファンからは異論もあったんじゃないかと思う。

というのも、主人公の造形がアニメとドラマでは少し違っているからだ。

 

ここから先は多少ネタバレしています。

異人之下 微博より

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ドラマとアニメとの違いは、一つはキャラクターとストーリーの主題に関わる点だ。

アニメでは主人公・張楚嵐(彭昱暢 飾)はごく普通の主人公タイプ、というか、容姿もそこそこ良く「やればできる子」って感じだ。ドラマの方が全体的に人物造形もデフォルメされていて、主人公は「目立たず、友達もおらず、モテもしない学生」に見える。

ヒロイン・馮寶寶(王影璐 飾)についても同様で、アニメは普通に可愛い子、なんだけれど、ドラマではそのずれっぷりに拍車がかかっている。彼女の他のドラマは見たことがないのだけれど、写真を見る限り普段はもっと可愛らしい感じで、そういう時の方がアニメのヒロインに似ていたりする。

特筆すべきはお爺ちゃんたちで、実写になると彼らがより生き生きと厚みのあるキャラクターになる。主人公の祖父(張琪 飾)、祖父の師兄である天師(王學圻 飾←「大明皇妃」で先帝やっていた人だ)もカッコよくて優しく、無双の強さ。この世代と主人公との関わりがドラマ版ではとても印象的で、それ故ドラマでは主人公やヒロインの家族のいない孤独、そして疑似家族的な「絆」がより強調される。こういう役者さんの演技のきめの細かさは実写ならではの味わいで、やっぱり要所要所にベテランの俳優さんを起用するのって大切だ。

 

アニメでは物語は祖父が引き起こしたとされる「甲申之乱」と八大秘術、それに関わるらしいヒロインの過去を探るのが中心になる。ドラマではその間に「絆の再構築」という情感的なパートが織り交ぜられる、そんな感じ。ドラマでは謎解きの部分がなかなか進まない印象で、お爺ちゃんたちの活躍が消える後半は各エピソードが少々ぶつ切りな印象だ。

 

もう一つアニメとの違いは武当山の道士、王也(侯明昊 飾)だ。アニメでもドラマでもやっていることはあんまり変わらないのだけれど、ドラマでは主人公・張楚嵐が魔道へ落ちるのを阻止しようとする人物として描かれ、重要度が増している。王也を演じる侯明昊は、ちょっと枯れた感じ、というか落着いた佇まいで、大変印象的。お爺ちゃんたちが大活躍する「武道大会」の後は、彼の家を舞台にしたエピソードが続く。

…ただ、彼と主人公たち、そして諸葛青(完顏洛絨 飾)が活躍するこの部分はアニメ化されているらしいものの、日本では見られない。残念。

 

ドラマはこの後、全性の呂良(景研竣 飾)のエピソードとなる。このエピソードも結構壮絶だど思うけれど、駆け足なのでいろいろ説明不足。サブキャラのその後も合間に入るのだけれど、こちらも尺が足りないせいか、あっさりしている。

ラストは一応物語としてはひと段落するものの、結局全ての元凶である「甲申之乱」の謎は明かされずじまい。八大秘術も全部揃ってないし。

 

それでもとても楽しめたし、第二季の制作も決定したようなので、気長に待ちたい。

第二季では、根本的な謎が明かされるといいなあ。

 

原題:異人之下 异人之下 I Am Nobody

首播:優酷

 

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