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「与君歌(邦題:与君歌~乱世に舞う運命の姉妹)」は過酷なサバイバル劇

「与君歌」がBSで放送になる。「蓮花楼」「沈香如屑」も放送開始だし、成毅の代表作は殆ど日本公開されることになる。ついに成毅の時代が来たってことなのかもしれない。

日本でも人気が出るといいけど。ついでに「底線」も放送してくれないかな。

「与君歌」微博より 恋に悩んでいるのではなく機を伺っている(笑)

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「与君歌」、よく分からないタイトルだけれど元々の題名は「夢醒長安」。唐末期が舞台の物語。昨今の規制で首都の名前等は変更されている…でもエンドでは劉宇寧がはっきり「長安」だって歌ってる(笑)。

原作「剣器行」は短編のようだから、多分ほぼドラマオリジナルのストーリーなんだと思う。

 

登場人物は歴史上の人物がモデルらしい。ジャンルとしては「ラブロマンス」で間違いないけれど、恋愛模様より、生き残りをかけた政争パートがメイン。…ラブロマンスものを作っているつもりが、結果的に政争パートの方が面白くなっちゃったというか。

 

男主は四面楚歌

齊焱(成毅 飾)は傀儡の皇帝だ。実権を握っているのは宦官の楚国公・仇子梁(何晟銘 飾)。

モデルは唐18代皇帝・武宗と宦官・仇士良。武宗は仇士良からの圧力を受け、兄帝とその妻子の殺害を命じ、皇帝の位についた人物だ。怪しげな丹薬を愛飲していた、というのも本当らしい。

 

ドラマでも仇子梁が兄帝やその協力者を殺害、齊焱を帝位につける。齊焱は表面上は嬉々としてこれを受け入れ、その後も仇子梁の意に大人しく従い傀儡を続けている。

主だった臣下は仇子梁に殺されるか国外逃亡し、味方はお付きの太監と部下一人だけ。四六時中監視され、身動きできない。武芸の腕は確かだけど、薬を飲まされ武功を封じられている。飲まされている薬と、その効果を一時的に消す薬をしょっちゅう飲んでいるため、身体はボロボロ。物語が進むにつれ、体調は悪くなる一方だ。

 

一方の仇子梁はだだっ広い屋敷に私兵を大量に抱え、いつでも首を挿げ替えられるよう別の皇族を薬漬けにして飼っている。敵になりそうな人物には片っ端から殺害。おまけに本人も滅法強い。

 

齊焱はそんな仇子梁に従うふりをしつつ、裏では機を見て味方を増やし、出し抜こうと画策している。密かに弓の練習をしているのは敵を倒すためではなく、急所を外して相手を倒したふりをしつつ、確実に逃がすためだ。

 

複雑で多面的な齊焱という人物を成毅はとても魅力的に演じていて、説得力ある人物像を描き出してくれる。齊焱は病弱なので動きのあるシーンは少ないけれど、ちょっとした仕草の中に齊焱の内面がにじみ出てくるようだ。

 

ヒロインにも歴史上のモデルが

齊焱が身辺の護衛に、と望んだのがヒロイン・程若魚(張予曦 飾)。仇子梁からOKが出るくらいなので、武芸の腕も大したことなく、可愛いけど直情的で短絡的。護衛というより、皇帝の癒し。まあ警戒されない人物ってことだけど、戦力としては心もとない。まあ腹に一物ないのは彼女だけだし、純粋で善良。なので、他勢力に利用されそうになったり、命を狙われることも。

齊焱は護衛のはずの彼女を守りながらいろいろ頑張ることになる。

 

彼女にもモデルがいるらしく、武宗の寵姫、王才人だそうだ。武宗に姿がよく似ていて、狩猟の際は男装してどちらが皇帝か分からないようにしていたという逸話もあるらしい。

 

信用できない周囲の人々

齊焱は積極的に傀儡を務めるふりをしているので、周囲の人々の反応は冷たい。彼らと協力できれば話は早いのだが、互いに疑心暗鬼で牽制し合って、なかなかうまくいかない。

本来帝の護衛を務める紫衣局からは見限られているし、仇子梁の義理の娘で密かに義父を倒そうとしている仇煙織(宣璐 飾)からは仇と思われている。

 

叔父の珖王(韓棟 飾)は本来兄帝の後継に指名されていたのでは、と周囲から思われている人物で、この人が敵なのか味方なのかも焦点の一つ。演じているのがヴィラン役も多い韓棟さんだから、よく分からないんだよ…。

 

彼らも仇子梁に協力的なふりをしつつ対抗するため策を講じるわけだけど、齊焱や程若魚にとっていい方に転ぶとは限らない。

他にも仇子梁に恨みを持つ国外勢力等が登場するけど、どの勢力も齊焱の味方か?と問われると肯定するのが難しい。他国の侵攻も受けている。

 

お話のポイントは…

そんな四面楚歌の皇帝と護衛のヒロインが強大な敵、仇子梁に立ち向かう。

お話のポイントは

 

①齊焱が皇位を剥奪されず、健康状態を悪化させずに生き残れるか

②味方を増やして仇子梁を倒せるか

③二人の恋の行方

 

齊焱らはかなり知恵を絞って仇子梁を出し抜こうとするものの、大抵の策は事前に仇子梁に気づかれ潰されてしまうので、①と②は途方もなく大変。さすがに一応史実に基づいているだけあって、政争パートは緊迫感もあり、手に汗握る展開も多い。

 

③に関しては、個人的には二人の関係がはっきりする後半より、前半の何でもないようなシーンの方にロマンス風味を感じる。例えば皇帝の自室で二人でご飯を食べるシーン。護衛なんだし食事時にいてもいいんだけど、皇帝におかずをよそってもらって「ありがと」って感じで動じない程若魚と、甲斐甲斐しく世話焼く皇帝の姿を見ると「ああ齊焱、寂しかったんだなあ」と納得。

 

話に辻褄の合わない部分もあるし、妙に冗長なところはあるし、糖度もアクションも少なめだけど、複雑なキャラクターと力関係が紡ぐ緊迫したストーリーと成毅の繊細な芝居は十分堪能できる、と思う。

それと、邦題ネタバレだと思うんだけどいいのかな?

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原題:与君歌 與君歌 Stand by Me 邦題:与君歌~乱世に舞う運命の姉妹 49集

導演:刘国楠「大唐荣耀」赵力军「山河月明」

原作:飞花《剑器行》 编劇:十四阙

出演:成毅 Cheng Yi 张予曦  Zhang Yuxi  宣璐 Xuan Lu  韩栋 Han Dong

 

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