最後の事件もなかなかにスリリングだった「唐朝詭事録之長安」。
第7案で天子と公主の最終決戦「先天政変」まで一月ないことが判明、更に第8案が外国からのスパイを扱った内容だったのでドキドキしたけれど、どうやら最終決戦は次季まで持ち越しのようだ。でも「私は決心した!」って公主が宣言しちゃったのでシリーズが今季で終了ということはなさそう。最終話と次シーズンに活躍しそうな怪しい人たちについて調べてみた。
ここから先は最終話ストーリーの(多少の)ネタバレが含まれます。ご注意ください。
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第8案「盛世馬球」
常々辺境で唐と争っている「盔勒」からのスパイ探しのお話。六本指の男、四天王の面、鬼市など怪しげなアイテムが頻出し、裴喜君が危険な目にあったりもする。スパイはどうやら天子が国際交流の場として用意した「馬球試合」で事を起こそうしており、しかも高官の中にスパイと通じている者がいるらしい…。
盔勒はどうやら架空の国のようだけれど、唐に限らず大抵の時代で北方民族と揉めてる気が。そりゃスパイもいるだろうし政治家を抱き込むこともあったろう。ちなみに(詳しくは言えないけど)高官が敵国と通じた理由は「仕方ないよねー」と同情できるものだった。
ちなみに玄宗の晩年に起こる「安史の乱」は辺境の異民族進入を防ぐために設けられた節度使がその発端になる。そういう意味でも複雑な気持ちになるエピソードだった。
事件は解決し試合で天子は異民族の皆さんのハートをつかむことにも成功。一方不利な状況に追い込まれた公主は遂に何事かを決心する、というところで今季はおしまい。
馬球とポロは同じ競技?
馬球はポロの原型とも言われる競技で、後漢の頃から中原で流行した。西に伝わりポロとなったらしい。日本に伝わったのは複数の球を用いる「打毬」で、平安時代には端午の節句の際に行われており、一時は廃れたものの江戸時代に武技の手練用に再び用いられるようになった(宮内庁HP)。…日本でも同様の競技が行われていたなんて知らなかった。写真を見ると流鏑馬みたいな衣装でやっていたようだ。
ドラマの馬球シーンは迫力満点。他のドラマでも度々馬球のシーンは登場するけど、ここまで緊迫感ある馬球シーンにはなかなかお目にかかれない。日本は撮影用の馬が少ないので、馬が轡を並べて競り合うようなシーンは撮影できないだろうな。羨ましい。
天子の周りの怪しい人物たち
天子の周りには如何にも怪しい登場人物たちが侍っている。太上皇と繋がっている太鑑や、実は公主のスパイである宮女など。いろんなことを天子に吹き込もうとしたり自身の主人に情報を漏らしたりしているけど、今季特別大きな動き、というのはなかった。こちらも次季に持ち越し?
宮女の阿茵についてはちょっと面白い記事を見つけた(網易25.11.23)。彼女は天子の為に赤箭粉を煎じる役目なのだけれど、この赤箭粉を使って天子の暗殺が謀られた事実がある、というのだ。元氏というのがその宮女で、これが先天之変の先駆けになったらしい。ちなみに赤箭粉というのは天麻を原料とした薬で抗痙攣作用・脳機能改善・血圧降下などの作用があり、太平公主も愛飲していたと「資治通鑑」に記述がある。
同じ記事にもう一人、実在の人物だと特定された役柄についても記述があった。公主の腰巾着、崔相(李进荣 飾)。フルネームは崔湜(自分で名乗るシーンがある)。この人の経歴もなかなか面白い(以下中文版Wiki)。博陵崔氏という名門に生まれ、本人も美しい容姿を持ち美貌の妻がいたのだが、妻妾を玄宗帝に献上した。武則天の側近だった上官婉児の愛人であり太上皇の娘・安楽公主とも密通していた。一方密かに太平公主と繋がりを持ち、先天之変を起こす。玄宗に毒を盛る計画もこの人の発案らしい。…色男、すごいな。
■太平公主の波乱の生涯
ドラマの公主も複雑で多様な面を持つ権力者だけれど、実際の太平公主の経歴もなかなか(以下中文版Wiki)。
武則天の末娘として665年頃に生まれる。美しい人だったようだが、中文Wikiでは5,6歳の時に従兄に襲われるという事件が記されている(従兄は流刑中に殺害)。8歳の時に祖母の菩提を弔うという名目で出家。この時に太平と名乗る。出家は吐蕃から持ちかけられた婚姻の話を断る為だったらしい。
最初の結婚は16歳の頃で開いては叔母・城陽公主の次男、薛紹。結婚は大々的に行われ恩赦もされた。武則天は娘を溺愛していた為、薛紹の兄嫁の出身が卑しいとして離婚を強要したりと横暴だったようだ。ただ、夫婦仲は良かったらしく二子をもうけている。ただ婚姻は長く続かず、薛紹の兄と弟が謀反に参加し処刑されたことで終止符が打たれる。夫の薛紹は死罪を免れたものの、鞭打ち百回の刑を受け獄中で餓死させられた。
二回目の結婚は2年後。別の従兄との結婚話があったが立ち消え、結局武則天の伯父の孫である武攸暨と結婚する。彼に嫁がせるために武則天は彼の妻子を殺害した。この二か月後、武則天は正式に即位する。ちなみに武攸暨は先天之変前年の712年に亡くなった。
この二度目の結婚の間に太平公主は寺の僧や朝廷の部下たちと愛人関係にあったと書かれている。歴史上女性の権力者には愛人の噂が付きまとうので本当のところはどうなんだろう?ともかく、これが武則天の耳に入り噂の相手は投獄されてしまう。それが太平公主と武則天の亀裂を決定的にし、太平公主は神龍政変に加わり武則天に退位を迫ることになる。
その後韋皇后の唐隆政変を玄宗(当時は太子)と共に収めたのは以前書いた通り。じゃあその後どのくらい権力があったかというと、朝廷の七人の宰相のうち五人は公主が任命するほどで、睿宗(玄宗のお父さん)より強大な権力をもっていたらしい。
玄宗たちにとっては煩わしい存在だったにちがいない。
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太平公主と天子となった玄宗の争いは激化の一途を辿り、公主がクーデターを起こすとの理由で玄宗が先んじて起兵するのが「先天之変」。政変の日付は先天2年7月3日。
…馬球試合がいつか分からないけど、第七案の時点であと10日もなーい!
第4季の予定はまだ何も発表になってないけれど、あるよね?ね?
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題名:唐朝诡事录之长安 Strange Legend of Tang Dynasty Ⅲ 40集
導演:巨兴茂
編劇:魏风华 郭靖宇
出演:出演:杨旭文William Yang Xu Wen 杨志刚Yang Zhi Gang 郜思雯 陈创 孙雪宁