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「蔵海花」(~最終集まで)ラスト三話はシリーズのミッシングリンク

「蔵海花」、感慨深く観終わった。

物語自体は29話辺りで終わりを迎え、ラスト三話はこれまで「盗墓筆記シリーズ」を見続けた視聴者及び読者へのファンサービスに近い内容になっている。

…本当にこれで鉄三角の活躍は幕を閉じるんだなあ、としんみり。

ドラマのエンドまでのネタバレが含まれます。ご注意ください。

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「蔵海花」微博より 中秋ポスター 和む鉄三角

冒険部分だけでも十分面白い

「蔵海花」では打倒「夜王」の為の冒険と、小哥の知られざる過去の物語が交互に語られる。小哥の物語については「盗墓筆記」シリーズの他の作品を観ていないとよく分からない部分も多いかもしれないけれど「地下迷宮突破」「雪山での冒険」「風暴から村を救う」、これだけでもスリリングで十分楽しいと思う。

 

冒険の途上には「六角鈴」や「密札陀(蛇)」やら赤い「蟲」やら、これまでの冒険で遭遇した様々なアイテムも登場する。いずれも危ない代物なので、懐かしいかと言われると…だけど。

 

張家と小哥を巡る謎はほぼすべて解ける

これまでのシリーズは、製作会社が替わって比較的まともになった「沙海」「重啓之極海聴雷」でも見終わって「???」となる謎が幾つも残された。

今回は最後の3話で綺麗に説明され、エンドも尻切れトンボにはなっていない!(←当然といえば当然なんだけど。なんせ「盗墓筆記」なので、分からないことだらけで終わると覚悟してた)

「蔵海花」を見ていて疑問に思った以下の疑問にも答えてくれた。

 

・そもそも何で張家の人々は、危険な「蔵海花」の花畑を保護してるの?

・張家の特殊能力って、結局何処からきてるの?

隕銅(←そもそもこれが張家の長命の源と言われてる)との関係は?

・「麒麟血」って何が特殊なの?

・六角鈴の幻覚が張家の人にも効果があるのは何故?

 

その他にもシリーズにちょくちょく登場する怪物「蛇」「蟲」が何であんなに凶悪なのかの種明かしもある。(結局みんな同じ原因なんだけど)

 

…ただし、何であんなデカい青銅扉を作る技術があったのか、っていう疑問は解いてもらえなかった。(今回の青銅扉はよくできている。あれ、CGじゃないらしい。美術さんが頑張ったとのこと)

 

「沙海」「重啓之極海聴雷」を繋ぐ物語も描かれる

「終極筆記」からこの「蔵海花」までの物語は冒頭で簡単に説明されたが、時系列的には「蔵海花」の後の物語である「沙海」と「重啓之極海聴雷」に続く話も盛り込まれている。

というより、その二つを簡単に繋いで、更にその先の物語がこのドラマのエンドシーンだ。これは「沙海」「重啓之極海聴雷」「蔵海花」の脚本家が全部同じだったからできることだろう。

 

「夜王」事件の背後に张海客らを操っていた謎の組織がある、と語られるけれど、この組織が「汪家」。この組織との闘いが描かれるのが「沙海」。主人公はこの争いに巻き込まれた少年で、呉邪はこの少年を無理やり冒険に連れ出す、という役どころ。

 

「沙海」の呉邪はそれまでの「天真」ぶりは陰を潜め、三叔みたいな策略家になっているんだけど「蔵海花」での呉邪の変化や「小哥が青銅扉から出てくるまでに、張家族長としてやらなければならないことを代わりに片付けておく」という彼の決意を知ると、割とすんなり納得できた。

 

「沙海」の中では呉邪が度々小哥との思い出を口にし、このドラマの舞台の一つ「修行場」も登場する。小哥と母親の邂逅シーンも描かれるのだけれど、何故修行場で邂逅することになるのかは、このドラマで初めて語られた。小哥が真っ赤な花畑に佇むシーンもあるけれど、あれって蔵海花だったんだなあ。

 

このドラマの31話の冒頭は「沙海」のラストと同じ、潘子(「終極筆記」に登場する三叔の頼りになる部下)の墓参りシーンだ。…あの後、青銅扉に小哥のお迎えに行ったのか。…やっぱ「沙海」観なおそうかなあ。

 

「蔵海花」のラストで描かれる雨村での一幕は、どうやら「重啓之極海聴雷」で描かれた事件の後の出来事らしい。街での仕事を引退して雨村で三人仲良く同居生活…というのは系列の小説「雨村筆記」が原作のようだ。「重啓之極海聴雷」は呉邪のもう一つの懸念事項、三叔の行方を捜す物語だから、このドラマでは触れない、ということなのかもしれない。

 

で、三叔はどうなった…?

「盗墓筆記」絡みで解けてない謎、と言えば呉邪のもともとの冒険の動機である「三叔の行方」なのだけれど…。「重啓之極海聴雷」でも結局三叔が最終的にどうなったのかは語られなかった。

 

百度百科によれば、三叔こと吴三省は、「重啓之極海聴雷」で呉邪にあてて大量の雷音を記録したテープを残した後「終極筆記」に登場した西王母墓の隕石の中に入っていったらしい。あそこには恋人だった陳文錦もいるはずで、二人は邂逅を果たしたようだ。呉邪の前には二度と現れなかったとのこと。

…いろいろあって仕方がないこととはいえ、可愛がっていた甥と逢うことはできなかったのか。

 

「盗墓筆記」の映像化はこれで終わり?

メインのお話はこれで一応すべて映像化された、ということになるようだ。ただ「蔵海花2」(本にはまとまっていないようだけれど)もあったりとか、短編やら外伝やら未だ映像化されていないものも。現在配信待ちなのは以下の二つ。

 

「南部档案」

南派三叔作「南部档案」のドラマ化。张新成、丁禹兮、景甜主演という豪華版。鉄三角は登場しないようだけれど(舞台は1870年代の中国)、張家の謎に纏わる物語のようだ。

 

「蔵海傳」

大変曖昧なのだけれど肖战主演の「蔵海傳」って多分汪家の祖先の話なんじゃないかと…。名前が一緒(でも汪が取れている)、というのと脚本家が「蔵海花」「沙海」「重啓之極海聴雷」の赵柳逸だし…。

ただ南派三叔の名前は何処にもなく、オリジナルストーリーとなっているので、やっぱり違うのかも。

 

小説はとうとう日本語訳が出るようだし(予約した♡)「終極筆記」(←FODの独占配信)以外も日本に紹介されるといいんだけどなあ。

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題名:藏海花 藏海花 Adventure Behind the Bronze Door 36集

原作:南派三叔「藏海花」 編劇:张沅玫含、邓悦、黎藻 

導演:韩青 

出演:张鲁一Edward Zhang 陈明昊 张康乐 文咏珊 Janice Man