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「唐朝詭事錄之西行」③~最終話まで

「唐朝詭事錄之西行」最後の2つの事件はこれまでの不思議な生き物や、不可解な事件とは打って変わって人間ドラマだ。一季同様最後まで面白く、且つ「西行」ぽさも満載でとても楽しかった。第三季の制作も決まったようで楽しみが増えた。

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「唐朝詭事錄」豆瓣より「供養人」単元ポスター 壁画が美しい

上仙坊的来信

雲鼎での第二の事件。ある男が浴槽で殺害される、という一見単純な事件だが、誰がどんな方法で殺したのかが分からない。捜査を進めていくうちに人々の意外な繋がりが見えてきて…。

「九義人」を思わせる話で、真相が明らかになるにつれ「誰をどう裁くべきか」で盧凌風は悩むことになる。

 

供養人

敦煌へ外国の使節団を迎えに行き、長安まで戻ってこいというお達しがあり遂に一行は敦煌へ。敦煌の中でも最も有名な遺跡「莫高窟」で、遺跡の案内をしてくれる親切な少年と出会う。その後街で一番の大金持ちで篤志家の老人と出会い、少年が彼の末の息子だと知るが、その息子が殺害され、財産争いの渦中に巻き込まれる…。

 

砂漠や敦煌自体の描写はそれ程多くないけれど、敦煌の人々の衣装や髪型がそれまでの街とは違っていて「ああ、シルクロードの街だあ」という気分になれる。ドラマの中に登場する習俗は当時本当にあったものなのかどうかは分からないけれど、異文化というか、中央とは違った文化と歴史の元に成り立ってる場所なんだろうと想像は膨らむ。

でも何より楽しかったのは、この時代の敦煌石窟は「現役」だったってことだ。

 

唐は敦煌壁画の最盛期

千仏洞とも言われる莫高窟が彫られ始めたのは4世紀にまでさかのぼる。五胡十六国時代、と言われてもピンとこないが要は三国志の時代が終わって魏→晋になって以降南北朝時代の前辺り。ドラマでいえば「大軍師司馬懿」と「琅琊榜」の間(笑)。

 

そこから元の時代に至る一千年もの間、洞窟が掘られ、その中に石像や極彩色の壁画が描かれ続けた。唐はその最盛期で、300もの石窟があったらしい。

 

ドラマの中でも莫高窟を男の子がいろいろ説明してくれるだけでなく、家の墓所として石窟が登場する。これからその家の家長が葬られる為壁画が描かれている最中で、その壁画自体がミステリの一部となっている。

 

遺跡、というとどうしても古い遺物という印象が強くて、そこに作った人や描いた人の生活があるとは余り考えない。本当にドラマの中のように描かれていたのかは定かではないけれど、敦煌の壁画も当時の人々の生活の一部だったと感じられるのは新鮮だった。

 

最終話は風習により60歳を迎えて自ら墓に入ることになった家長の遺産を巡る物語で、長女・次女とその夫たち、三女の思惑が入り乱れる、横溝正史の小説に在りそうなストーリー。犯人らしき人物が二転三転していき、イヤな想像が横切ったりして、とても面白かった。

 

第三季は「長安

ドラマの最終盤で、とうとう盧凌風と蘇無名は長安への帰途に就く。ドラマの最後に出たテロップでは、第三季は「唐朝詭事錄之長安」だそうだ。

 

長安では公主と太子改め帝との血で血を洗うような抗争が待っているはずで(歴史上の公主と太子の抗争については「唐朝詭事錄之西行①」に書いています)、西行の最中ですら命を狙われていた二人にとっても危険が一杯なはず。

今まで政治闘争は前面に出てこなかっただけに、どう展開するのか、伝奇ものの雰囲気や怪奇な事件とどう絡むのか、今から楽しみだ。

 

第二季でも第一季同様のクオリティを維持したキャストとスタッフだから、第三季もこのままの勢いで頑張ってほしい。

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題名:唐朝詭事録之西行 唐朝诡事录之西行 40集

HORROR STORIES OF TANG DYNASTY II TO THE WEST

編劇:魏风华 導演: 柏杉 

出演:杨旭文William Yang Xu Wen 杨志刚Yang Zhi Gang 郜思雯 陈创 孙雪宁

 

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