金庸生誕百周年!をうたって豪華キャストで製作された「金庸武侠世界」シリーズ。いつの間にか「華山論剣」に名前が改まり特に前触れもなく配信開始…嫌な予感しかしないけれど、観たらやっぱり嫌な予感は当たってた。
ここから先はドラマの終盤のストーリー及び「射鵰英雄伝」についてのネタバレが含まれます。愚痴なので、あまりいいことは書いてません。ご注意ください。
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「崋山論剣」シリーズって?
元々は「金庸武侠世界」シリーズとして製作された作品群。金庸の代表作「射鵰英雄伝」をベースにメインストーリーである「鉄血丹心」と、4つのオリジナルストーリーのスピンオフから成る。昨年7月に「鉄血丹心」が配信されて以降音沙汰がなかったけれど、ここへきて全部配信するようだ(今の処「九陰真経」「東邪西毒」「南帝北丐」まで配信)。
ちなみに新たなタイトルとなった「崋山論剣」は「射鵰英雄伝」に登場する武術の達人・五絶が集まり技を競い合う集まりのこと。
配役は豪華だし、名前を聞いた時にはイメージにすごく合っていると思った。
東邪こと黄薬師=周一围
西毒こと欧陽鋒=高伟光
九陰白骨爪の使い手、梅超風=孟子义
南帝こと段智興=何润东
導演も編劇も豪華な布陣で
「九陰真経」
編劇:程婷钰「錦繍未央(邦題:王女未央)」「白髪(邦題:白樺の姫)」蒋崝
導演:臧溪川「九義人(邦題:花の告発)」
「東邪西毒」
編劇・導演:徐兵(「夢中的那片海(邦題:春を待ちわびて)」「在人間」)
「南帝北丐」
編劇:黄彦威「你安全吗」「神话(胡歌版)」
導演:邓科「折腰」「赘婿」
「五絶争鋒」編劇:曹笑天「蒼蘭訣」「九義人」
導演:曹盾「長安十二時辰(邦題:長安二十四時)」「長安的茘枝」
これだけ揃ったら期待するなという方が無理…だったんだけど。
「九陰真経」
タイトルの「九陰真経」とは「射鵰英雄伝」で皆が手に入れたがっている秘伝の武術書。梅超風はこれを師父の黄薬師から盗んで出奔するので、その部分の二次創作なんだろうとと想像はつく。ただ「べたべたな恋愛もの」を見せられるとは思ってなかった(泣)。
ストーリーは両親を殺され仇討を狙う梅超風が黄薬師に救われ弟子となるが、結局兄弟子をいいくるめて九陰真経を盗んで出奔する。…まあ大筋は原作通りではあるんだけど。
孟子义も、兄弟子で梅超風の夫・陳玄風役の何与も武侠ものの出演も多く、動ける人だと思っていたのにアクションシーンは超少な目。黄薬師も妻の看病にかかりきりで、動くつもりはないらしい(笑)。
梅超風と兄弟子については恋愛描写があったっていいんだけど、闇落ちもせず二人とも「実はいい人でした」っていうのは何とも…。そもそも梅超風は悲劇的な人生を歩んできたヴィランで、そこが魅力なんだけどなー。実はいい人な夫を殺しちゃった郭靖(子供)の立場は…。
でも観ていて辛かったのはそこよりも黄薬師と妻・馮衡(陈都灵 飾)との恋愛話。何でこんなにねっとり粘度が高いんだろ?物語にはことごとく馮衡が絡んできて、梅超風に積極的に関わろうとしない黄薬師を説得。馮衡は寒の病が重く、黄薬師はその治療のことしか頭にない。甘い、というわけでもなくひたすら深刻で重苦しいシーンが延々続く。
まあ8話だし、何とか視聴終了。
ただこのドラマ、誰向けなのだろうという疑問が沸く。元々武侠ものは男性に人気なジャンルで女性は苦手、という人も多い。恋愛にシフトしたということは女性客を取り込みたかったのだろうけど、だったら梅超風のパートだけでよかったんじゃ…。
「東邪西毒」
ところがこの恋愛話、「東邪西毒」でも続くのだ。
時は遡って黄薬師と馮衡の出会いから。…本当は東邪と西毒の出会いから、なんだけどそれより丁寧に描かれる。製作者はよほど馮衡が好きなんだな。この辺り、同じ周一围の「大唐狄公案」を思い出す。…中国ではこういうのが受けるのか、と一瞬思ったけど「大唐狄公案」の評判も芳しくなかった。
西毒の方にもお相手が登場。西毒には「射鵰英雄伝」中に実家の兄嫁との云々があるので、オリジナルキャラクターを突っ込んで新しいラブストーリーを作る必要はないのでは…。アクションシーンは「九陰真経」より多いけれどUPが多くて、動きを胡麻化しているっぽいのが気になる。
宋に来たのは初めて!な西毒と東邪の珍道中的パートは短いけれど悪くない。女性絡みから争いに巻き込まれていく過程も悪くない。恋愛要素を抜きにすればそこそこ面白そうなストーリーではあるんだけど、何しろ配分が恋愛系8割(あくまで印象です)なんで辛い。西毒の恋愛パートはコメディ(でも人は死ぬ)調ではあるので前作よりは軽い印象だけど、観続けるのは最早修行。…何とか最後までたどり着いたけれど、成程これでは「金庸生誕百周年」の看板を下ろすわけだ。
馮衡の造型について考える
自分を救ってくれた人にいきなり「私はあなたのもの。私を一緒に連れて行ってくれないなら殺してください(意訳)」と言ったり、黄薬師への想いを聞かれて「好きです」「黄薬師の方は?」「必ず好きになってくれます(こっちも大体の訳)」と言い放ったり、な馮衡。弱弱しいくせに根拠なく自信家。うーん、ものすごく苦手。
苦手なのは多分彼女が非常にクラシックな「女性観」を体現しているからだ。決して前に出ず、夫に守られ、その知恵を以て陰で夫を支え…「女訓」とかに出てきそうな女性像。中の人、陈都灵は特に苦手ではないのだけれど、こういう役が多い。
女性ドラマではこういう役は大抵裏工作したり何か企んでいるヴィランなんだけど(笑)男性向けの武侠ものだとメインヒロインになるのね…。
まあ、こういう女性像は製作側の思い込み、なのかもしれない。実際配信後の評判は芳しくないようだ。それにしてもなぜ武侠の二次創作に恋愛話を持ってきたのか…。
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ここまででもうお腹一杯。「南帝北丐」の配信も終わって「五絶争鋒」が始まっているけど、ついていける気がしない。どうしようかなー(溜息)。
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題名:華山論剣 华山论剑 「九陰真経/九阴真经」「東邪西毒/东邪西毒」
原作:金庸「射鵰英雄伝」
編劇・導演:文中を参照のこと 全30集
出演:文中参照のこと